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科学技術振興機構報 第947号

平成25年4月8日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)
Tel:03-5214-8404(広報課)
URL https://www.jst.go.jp

戦略的国際科学技術協力推進事業
「日本-ドイツ研究交流」における平成25年度新規課題の決定について

JST(理事長 中村 道治)は、ドイツ研究振興協会(DFG)注1)およびドイツ連邦教育研究省(BMBF)注2)と共同で「計算論的神経科学」に関する4件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注3)「日本-ドイツ研究交流」注4)の一環として行われるものです。

支援を決定した課題は次の通りです。

(1)「エネルギー伝達運動のインピーダンス制御機構の解明」

(研究代表者:情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター ガネッシュ・ゴウリシャンカー 研究員、ミュンヘン工科大学 インフォマティクス研究所 パトリック・ヴァンダスマット 教授)

本研究交流は、ボールをバットで打ち返すようなエネルギー伝達運動のインピーダンス制御機構を心理物理実験、計算論、ロボティクスの手法を用いて解明することを目指すものです。

(2)「体内時計の時計遺伝子に基づく概日リズム調節メカニズムの解明」

(研究代表者:理化学研究所 脳科学総合研究センター 内匠 透 チームリーダー、チャリテ大学 理論生物学研究所 グリゴリ・ボルデュゴフ 研究員)

本研究交流は、哺乳類の種や起源の違いによって、体内時計の機能の中枢である視交叉上核(しこうさじょうかく)内の時計遺伝子の発現形態が異なる点に注目して、光環境による概日リズムの調節メカニズムの解明を目指すものです。

(3)「強化学習の神経回路機構の解明へ向けて」

(研究代表者:東京大学 大学院教育学研究科 森田 賢治 講師、ユーリッヒ総合研究機構 神経科学・医学研究所 モリソン・アビゲイル 教授)

本研究交流は、価値の予測誤差を表すようなドーパミン細胞の活動がいかにして生じ、学習の過程でいかなる役割を果たすかを、解剖・生理データを踏まえた大脳皮質・基底核神経回路の数理モデリングによって解明するものです。

(4)「視覚的注意の計算論モデルによるマイクロサッカードの解明」

(研究代表者:自然科学研究機構 生理学研究所 吉田 正俊 助教、チュービンゲン大学 統合神経科学センター ハフェド・ジアド ジュニア・リサーチ・グループリーダー)

本研究交流は、視覚的注意、つまり「眼前に見えるものうち何に目が引かれるのか」を予測する計算論モデルを用いて、ヒトの無意識の眼球運動であるマイクロサッカードのメカニズムの解明を目指すものです。

今回の研究交流課題の募集では13件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびドイツ側の外部専門家により評価しました。その結果をもとにJST、DFGおよびBMBFが協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本とドイツがともに支援すべきとして合意した4件を支援課題として決定しました。日本側は平成25年4月に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。

注1) ドイツ研究振興協会(DFG:Deutsche Forschungsgemeinschaft)
1920年に設立された、ボン市に本部を置く非営利・非政府組織。自然科学と人文科学全分野にかかわる研究プロジェクトに資金を提供し、研究者間の協力を促進しています。
DFGホームページURL:http://www.dfg.de/en/index.jsp
注2) ドイツ連邦教育研究省(BMBF:Bundesministerium für Bildung und Forschung)
ドイツの中央省庁。研究機関や研究プロジェクトに資金提供を行うとともに、教育政策などを担当しています。
BMBFホームページURL:http://www.bmbf.de/en/index.php
注3) 戦略的国際科学技術協力推進事業
政府間合意に基づき、戦略的に重要なものとして文部科学省が設定した協力対象国・地域および分野において、相手国の研究支援機関と共同で研究提案を公募・採択し、国際研究交流を支援します。
戦略的国際科学技術協力推進事業ホームページURL:https://www.jst.go.jp/inter/index.html
注4) 「日本-ドイツ研究交流」
平成21年11月に開催された「第20回日独科学技術合同委員会」における合意に基づき、文部科学省が「ライフサイエンス」をドイツとの研究交流分野として設定しました。これを受け、JSTがDFGおよびBMBFと本分野において戦略的国際科学技術協力推進事業を実施することとなりました。今回は2回目の研究交流課題の採択となります。

<添付資料>

別紙:戦略的国際科学技術協力推進事業「日本-ドイツ研究交流」平成25年度新規課題 一覧

参考:戦略的国際科学技術協力推進事業「日本-ドイツ研究交流」平成25年度新規課題の採択に関して

<お問い合わせ先>

科学技術振興機構 国際科学技術部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
中島 英夫(ナカジマ ヒデオ)、稲村 千穂(イナムラ チホ)
Tel:03-5214-7375 Fax:03-5214-7379
E-mail:

(英文):JST to fund Four New Japan-Germany Research Exchange Projects
within "FY2013 Strategic International Research Cooperative Program (SICP)"