JST 社会技術研究開発センターは、戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)の「犯罪からの子どもの安全」研究開発領域(領域総括 片山 恒雄)で、平成19年度から6年間にわたり13の研究開発プロジェクトに取組んだ成果として「犯罪から子どもを守る7つの提言」をまとめました(別紙1)。
この領域では、科学的根拠に基づく犯罪予防の取組みを認知・普及し、子どもへの犯罪リスクを減らすことを目指して研究開発を進めてきました。具体的には、地域の子どもの犯罪被害や防犯活動の状況、住民意識などの実態を捉え、子どもが安全に暮らせる「まちづくりを支援するツール」を開発したプロジェクトや、子どもたちが受けた傷害が虐待やいじめなどによる意図的なものかどうかを判断する「虐待判別システム」を開発したプロジェクト、子どもから適切に証言を引き出す「司法面接法」を開発したプロジェクトなどです。これらは、地域や学校、医療機関、警察、児童相談所などと連携して、実際にプロジェクトの成果を活用しながら実証を重ねてきました。
その結果、子どもを犯罪から守るための重要な観点として、①社会全体で子どもを守り育むこと、②さまざまな取り組みを犯罪の予防に結び付けること、③子どもを守るのは最終的に人であり、それを支える技術やモノ、法制度や社会的費用負担などの社会システム、この3点をあわせて考えることが不可欠であることが分かってきました。そこで、子どもを守るための具体的方策として、以下の7つの提言をまとめました。
1.あらゆる関与者が協働して子どもを守り育む
2.実態と根拠を踏まえ持続的な取組みを目指す
3.子どもの叫びを捉えデータ化し予防に活かす
4.データを共有し取組みに活かす仕組みを作る
5.犯罪現象を理解して防犯に役立つ能力を育む
6.犯罪予防に資する研究開発や実装を促進する
7.現場のニーズや研究の成果を社会に発信する
この提言では、社会全体で子どもを守り育むには、ムリ・ムラ・ムダをなくした持続的な取組みが必要で、犯罪のヒヤリ・ハットや傷害などの犯罪の予防に役立つデータを収集し共有して活かすための仕組みづくりを国や自治体が中心となって進めることなどを掲げています。提言は、各省庁や自治体、警察などに配布する予定です。また、領域のWEBサイトでは、提言の詳細やプロジェクト成果をご覧いただけます。