未曾有の被害をもたらした東日本大震災からまもなく2年が経過しようとしています。国立国会図書館の「国立国会図書館 東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)」注1)や東北大学 災害科学国際研究所の「みちのく震録伝」注2)などにおいて、東日本大震災に関するあらゆる記憶、記録、事例、知見を収集し、国内外や未来に役立てる取り組みが進められています。しかし、集積される情報が多くなるほど、さまざまな情報を利用できる形で取り出すことが困難になりつつあります。
そこで、JST(理事長 中村 道治)では、平成25年度から、これまで培ってきた科学技術情報の整理手法を応用し、東日本大震災に関する画像、動画などのマルチメディアデータを体系的に整理し、専門家が利用できる形に整備することにより、震災からの復興や今後の防災・減災に貢献する取り組みをスタートさせます。
この取り組みは、分野ごとにデータの形式・種類がバラバラで、利活用が困難な情報を整理し、共有することにより、分野を超えた知見を見いだす環境構築の第一歩となるものでもあり、第4期科学技術基本計画に記載された「知識インフラ」注3)の構築につながるものでもあります。
これまでJSTは、「J-GLOBAL(ジェイグローバル)」注4)や、「ReaD&Researchmap(リードアンドリサーチマップ)」注5)により、研究開発活動に必要な情報(論文・特許などの研究成果、研究者、研究機関の情報など)を、体系的に収集して利用者が使いやすいように整備し、インターネットを通じて提供してきました。
今後は、このような情報提供サービスに加えて、今回体系的に整理する震災復興や防災・減災に役立つデータなどのさまざまな情報を循環型につなぐ、新たな情報流通モデル注6)の開発を目指します。