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科学技術振興機構報 第882号

平成24年4月27日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)
Tel:03-5214-8404(広報課)
URL https://www.jst.go.jp

日本の学協会の電子ジャーナルを発信するJ-STAGEがリニューアル
~国際標準に対応、アーカイブサイトを統合、編集機能支援ツールも導入~

JST(理事長 中村 道治)は、電子ジャーナル発信プラットフォーム「J-STAGE注1)」に新しいシステムを導入し、5月1日(火)から全面リニューアルします。さらに、J-STAGEを通じて学協会が発行する学術論文誌に、論文剽窃(盗用)検知ツール“CrossCheck注2)”を導入します。

J-STAGEは、1999年の運用開始から13年が経過し、これまでも2003年にシステムのリニューアルを行ってきましたが、ユーザーインターフェイスや機能面を中心にさらなる改善が必要でした。そこでJSTはユーザビリティーの向上と国際発信力のさらなる強化を目的として、2009年から新システムを開発してきました。

新しいシステムでは、登載する論文情報の形式を国際標準のXML形式(JATS)フォーマットに移行、これまで別々のサイトであったJ-STAGEとアーカイブサイト「Journal@rchive注3)」を統合し、デザインやインターフェイスを一新、論文の管理機能を強化しました。これにより、日本国内の学協会が発信する論文情報の汎用性・再利用性が向上し、利用者にとっては19世紀までさかのぼる貴重な論文を含め、総計約230万記事(2012年4月時点)を1つのサイトで検索・閲覧できるようになります。

この他にも、新システムにあわせ、XML形式でのデータ作成ツールや投稿審査システムの改善などを行い、学協会の作業負担を軽減しています。

また、近年、学術論文誌ではインターネットを通じて閲覧のできる電子ジャーナルが広く普及し、論文の電子投稿も増え、デジタル化が進んでいます。論文のデジタル化は論文に含まれる情報の新たな再利用を可能にしていますが、一方で、複製・転写など論文のテキストやデータの再利用も容易にできるため、盗用などの不正行為のハードルを下げているという側面も持ち合わせています。実際に、学術誌の編集過程で二重投稿や盗用などの増加が顕在化しており、学術情報流通において国際的な問題になっています。

同様の問題がJ-STAGEを利用する学協会からも指摘されており、JSTでは、英文の論文で世界的に広く用いられている論文剽窃(盗用)検知ツール“CrossCheck”を導入し、学協会でも学術誌の編集プロセスで利用できるようにしました。

J-STAGEでは、電子ジャーナルや論文の機能面の向上によるさらなる発信・流通の促進と同時に、今回のCrossCheck導入をはじめとして、学協会における編集機能の強化と日本の学協会発行論文のさらなる品質向上をサポートしていきます。

ホームページURL:http://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/ 5月1日(火)午前0時

注1) J-STAGE(ジェイステージ)
JSTは、日本における学協会などの科学技術情報発信力の強化を目的とし、最新の科学技術研究成果(人文・社会科学を一部含む)である、学術論文の電子ジャーナル出版を支援するため、平成11年から「J-STAGE」の提供を開始しました。「J-STAGE」のプラットフォームを利用し、学協会などが電子ジャーナルコンテンツを作成し、公開しています。平成23年3月末までに、約1000誌(60万記事)の学術論文誌、予稿集などを公開しており、世界各国から毎月約700万件のアクセスがあります。
注2) CrossCheck(クロスチェック)
Crossref/米国iParadigms社が提供する論文剽窃(盗用)検知ツール。CrossRefメンバー機関(出版社など)から全世界で発行される6万5000誌以上が参加、利用しています。剽窃、盗作などが疑われる論文をツールにかけると、データベースやWeb上の文書とテキストパターンマッチングを行い、類似率が高い文書を表示します。
J-STAGEはCrossRefメンバー機関であり、J-STAGEを利用する学協会は学協会の費用負担により、CrossCheckを編集プロセスに組み込んで利用することができます。
注3) Journal@rchive(ジャーナルアーカイブ)
日本国内の学協会が発行する学術雑誌の流通のさらなる促進による国際発信力の強化と、知的財産の保存を目的として、紙媒体の雑誌を創刊号から電子化し、公開するサイトです。平成17年度の開始以来、170万件の記事を公開してきました。

<添付資料>

別紙1:「J-STAGE」新システム概要 J-STAGEトップ画面、ジャーナルトップ画面、XMLデータ作成画面

別紙2:論文剽窃検知ツール“CrossCheck”の導入概要

<参考記事>

佐藤 竜一ら“J-STAGE新システムが加速する国内学術論文誌の電子化と流通”
情報管理. Vol. 55, No. 2, (2012), 106-114.
doi: 10.1241/johokanri.55.106(2012年5月1日公開)

橋本 勝美“CrossCheckを用いた剽窃・盗用チェック 日本疫学会誌 Journal of Epidemiologyの事例”
情報管理. Vol. 55, No. 2, (2012), 87-96.
doi: 10.1241/johokanri.55.87(2012年5月1日公開)

<お問い合わせ先>

科学技術振興機構 知識基盤情報部
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
宮川 謹至(ミヤガワ ヨシユキ)、土屋 江里(ツチヤ エリ)、青山 幸太(アオヤマ コウタ)
Tel:03-5214-8837 Fax:03-5214-8470
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