JST(理事長 中村 道治)は、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)注1)と共同で「分子医学研究」に関する3件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-スイス研究交流」注3)の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「末梢リンパ組織において、リンパ球の遊走・活性化を制御する分子基盤の解明」
(研究代表者:九州大学 生体防御医学研究所 福井 宣規 教授、ベルン大学 テオドール・コッハー研究所 ジェンズ・ステイン 講師)
本研究交流は、免疫応答におけるリンパ球の遊走・活性化を制御するたんぱく質であるDOCKファミリー分子群の動作原理の解明を目指すものです。
(2)「内在化がん関連抗原の網羅的同定のための先進的ケミカルプロテオミクス技術の開発」
(研究代表者:大阪大学 大学院薬学研究科 向 洋平 助教、スイス連邦工科大学 チューリッヒ校 大学院薬学研究科 ダリオ・ネリ 教授)
本研究交流は、次世代型の抗体医薬というべき抗体薬物複合体の迅速開発を実現する技術基盤の構築を目指すものです。
(3)「IgA腎症の病因におけるO型糖鎖修飾IgA分子と形質細胞延命因子APRILの役割」
(研究代表者:順天堂大学 医学部 富野 康日己 教授、ジュネーブ大学 医学部 ユアー・ベルトラン 講師)
本研究交流は、IgA腎症におけるO型糖鎖と形質細胞延命因子の役割を解析し、IgA腎症の病因の解明を目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では20件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびスイス側の外部専門家により評価しました。JSTとETHZはその結果をもとに協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本とスイスがともに支援すべきと合意した3件を支援課題として決定しました。日本側、スイス側ともに本年12月に支援を開始し、研究期間は支援開始から約3年間を予定しています。