JST(理事長 中村 道治)は、平成23年度に文部科学省が設定した戦略目標を受け、CREST、さきがけにおいて6つの研究領域を設定していますが、これに加えて戦略目標「生命現象の統合的理解や安全で有効性の高い治療の実現等に向けたin silico/in vitroでの細胞動態の再現化による細胞と細胞集団を自在に操る技術体系の創出」について、新たにCRESTの研究領域を設定し、その研究総括を決定しました。
この戦略目標は、生命機能を理解するために、要素が構成するシステムの時空間的な動態に迫る研究へのパラダイムシフトを目指すもので、戦略的創造研究推進事業において、①異なる分野を融合したチーム型研究や、②個人研究者の独創的な発想による先鋭的かつ挑戦的な研究を推進することが考えられます。②については、さきがけ「細胞機能の構成的な理解と制御」研究領域を先行して設定し、すでに研究提案募集を行っていますが、①については、チーム型研究であるCRESTが適しており、綿密な研究領域の検討を経て、今回のCREST研究領域の設定に至りました。
本研究領域については、研究者へ研究領域の周知活動を行い(平成24年1~2月頃に説明会などを予定)、平成24年3月以降に研究提案募集を行う予定で、その詳細については改めてお知らせします。なお、今回の研究領域の設定および今後行う周知活動は、平成24年度のできるだけ早期に研究を開始できるよう準備を進めるために行うものであり、平成24年度予算の状況によっては、今後内容などに変更があり得ます。
今回、新たに加わる研究領域は以下の通りです。より詳細な情報については、下記のホームページをご覧ください。
https://www.jst.go.jp/pr/evaluation/problem/problem2/kisoken/h23/crest.html
<CREST>
- 「生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出」研究領域
研究総括:山本 雅 東京大学 医科学研究所 教授
研究領域の概要
生命体は環境刺激に応答する機構とホメオスタシス維持機構の動的バランスにたっています。本研究領域では、ゲノムやたんぱく質・脂質をはじめとする生体高分子が織り成す生命現象を無細胞系、細胞、細胞集団のレベルで観察・実験・計測し、この生命体の動的システムを時空間の視点で統合的に理解することを目指します。同時に、これらの研究を基盤として、生命現象を自在に操る技術の創出を追求します。
具体的には、近年急速に発展した高速・高分解能の計測・分析技術や数学、物理学、工学、情報・計算科学などを含む先端科学を生命科学と融合し、従来のアプローチでは踏み込めなかった動的かつ複雑な生命現象の作動原理を解明しようとする研究を対象とします。生命体の動的システムを数理科学に基づくモデリングやシミュレーションを活用して理解するなど、新しい方法論の確立につながる学際的視点を持つ先導的な研究を推奨します。