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参考1

研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)について

1.趣旨

研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)は、日本の将来の創造的・独創的な研究開発を支える基盤の強化を図るため、先端計測分析技術・機器およびその周辺システムの開発を推進します。

なお、平成23年度より、従来の産学イノベーション加速事業【先端計測分析技術・機器開発】は、研究成果最適展開支援事業(A-STEP)と統合し、新たに設立される「研究成果展開事業」の1プログラムとなりました。研究成果展開事業では、以下(1)(4) の4つのプログラムの特長を生かしながらも、今後、可能な限りルールの統一化を図るなど、制度利用者である開発企業や大学などの研究者の利便性を意識しながら運営し、大学などと企業との連携を通じて大学などの研究成果の実用化が今まで以上に促進されることを目指します。

2.構成と目的

研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)では、以下の4つのタイプを展開しています。

(1)要素技術タイプ

独創的な計測分析技術・手法(要素技術)を開発するプログラムです。計測分析機器の性能を飛躍的に向上させることが期待される、新規性のある独創的な要素技術の開発を行うことを目的としています。

(2)機器開発タイプ

独創的な研究開発活動に不可欠な最先端の計測分析機器およびその周辺システムを開発するプログラムです。産と学・官の各機関が密接に連携して開発チームを編成し、チームリーダーの強力なリーダーシップのもと、要素技術開発からプロトタイプによる実証までを一貫して実施することによって、最先端の研究やものづくり現場のニーズに応えられるような計測分析機器およびその周辺システムの開発を行うことを目的としています。
 なお、平成23年度は、総合科学技術会議が策定した「平成23年度科学・技術重要施策アクション・プラン」に掲げる、太陽光発電、蓄電池または燃料電池の飛躍的な性能向上と低コスト化を目指した研究開発プロジェクトの成果創出に資する先端的な計測分析技術・機器開発を行い、研究開発現場での活用促進を図る」ことを目指した開発領域についても新たに設定し、公募を実施しました。

(3)ソフトウェア開発タイプ

先端的な計測分析のプロトタイプ機の実用化並びに普及を促進するため、アプリケーション、データベース、プラットフォームなどのソフトウェア開発を行い、ユーザビリティが高く、信頼性の高い機器・システムに仕上げることを目的としています。

(4)プロトタイプ実証・実用化タイプ

独創的な研究開発活動に不可欠な最先端の計測分析・機器およびその周辺システムを実用化に向けて開発するプログラムです。産と学・官の各機関が密接に連携して開発チームを構成し、チームリーダーとなる企業の強力なコミットメントのもと、世界トップレベルのユーザーである大学などとの共同研究を通じて、プロトタイプ機の性能の実証、並びに高度化・最適化、あるいは汎用化するための応用開発をマッチングファンド形式により行い、実用可能な段階(開発終了時に受注生産が可能)まで仕上げることを目標としています。


特徴

図 「先端計測分析機器の事業化に向けたロードマップ

3.選考の観点

「要素技術タイプ」

  1. (1)開発しようとする技術・手法に新規性・独創性があること
  2. (2)開発の実現可能性があり、将来への波及効果が見込まれること
  3. (3)開発目標・開発計画が妥当であること
  4. (4)現在の要素技術に比べ飛躍的に性能を向上させること
  5. (5)標準試料、標準試薬となりうるものなどの場合については、波及効果が大きいこと
  6. (6)知的財産権の管理体制が明確になっており、取得やライセンスの方針が適切であること

「機器開発タイプ」

<アクション・プラン対応領域の開発課題>
  1. (1)開発を行う技術・機器に新規性・独創性があり、アクション・プランの施策パッケージの成果目標達成への貢献が見込まれること
  2. (2)太陽光発電、蓄電池または燃料電池関係の研究開発において、利用される分野、ユーザーが明確で、研究開発現場の利用ニーズに応えるものであること
  3. (3)研究開発現場での活用に至るまでのプロセスが明確で、本事業の支援終了後、速やかに研究開発現場での活用が期待できること
  4. (4)開発構想の実現に向けた科学的・技術的な見通しがあること
  5. (5)具体的かつ実施可能な開発計画が立案されていること
  6. (6)開発計画の遂行に必要な実施体制を構築できていること
  7. (7)知的財産権の管理体制が明確になっており、取得やライセンスの方針が適切であること
<上記以外の開発課題>
  1. (1)開発を行う技術・機器に新規性・独創性があること
  2. (2)最先端の研究ニーズに応えるものであること
  3. (3)開発構想の実現に向けた科学的・技術的な見通しが立っていること
  4. (4)具体的かつ実施可能な開発計画が立案されていること
  5. (5)開発計画の遂行に必要な実施体制を構築できていること
  6. (6)開発成果である計測分析機器がより大きな波及効果を生み出すと期待されること
  7. (7)応用領域の開発課題については、ものづくり現場のニーズに応えるものであること
  8. (8)知的財産権の管理体制が明確になっており、取得やライセンスの方針が適切であること

「ソフトウェア開発タイプ」

1.ソフトウェア開発
  1. (1)プロトタイプ機に新規性、独創性があり、利用ニーズに応える装置であること
  2. (2)最先端の研究やものづくり現場などの利用ニーズに応えるソフトウェアであること
  3. (3)参画する研究開発者(機関)は密接に連携し、役割分担が明確であり、効率的かつ実施可能な開発計画となっていること
  4. (4)知的財産権の管理体制が明確になっており、成果の普及方法やライセンス、標準化の方針が適切であること
  5. (5)開発成果のソフトウェアが搭載された計測分析機器の事業化に至るプロセスが明確になっており、本事業の支援終了後、速やかに事業化が期待されること
  6. (6)開発するソフトウェアが、より大きな波及効果を生み出すと期待されること
  7. (7)ソフトウェアで解決する課題が明確で、解決する手段の実現性が十分精査されていること
  8. (8)プロトタイプ機が開発途中である場合は、公募段階で開発目標の達成が可能であることを証明できること
2.プラットフォーム開発
  1. (1)効率的かつ実現可能な計画が立案されていること
  2. (2)計画の遂行に必要な実施体制を構築できていること
  3. (3)知的財産権の管理体制が明確になっており、成果の普及方法やライセンス、標準化の方針が適切であること
  4. (4)調査結果や設計するプラットフォームが、より大きな波及効果を生み出すと期待されること

「プロトタイプ実証・実用化タイプ」

  1. (1)プロトタイプ機に新規性・独創性があること
  2. (2)最先端の研究現場などの利用ニーズに応えるものであること
  3. (3)具体的かつ実施可能な開発計画となっていること
  4. (4)企業が積極的に参画し、事業化に至るまでのプロセスが明確になっており、本事業の支援終了後、速やかに事業化が期待されること
  5. (5)利用される分野、ユーザーが明確になっており、適切なニーズを把握していること
  6. (6)開発チームに参画するユーザーは、世界トップレベル、もしくはユーザーとして大きな影響を有する者であること
  7. (7)知的財産権の管理体制が明確になっており、取得やライセンスの方針が適切であること
プラットフォーム
先端的な計測分析機器関連ソフトウェアの開発基盤となるものであり、先端的な計測分析機器を開発する上で、制御、計測、データ解析といった組み込み制御、周辺アプリケーションに限らずソフトウェア開発を実施する上で、ソフトウェア開発者が利用する開発環境を表す。

研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム) タイプ別比較表

プログラム 要素技術タイプ 機器開発タイプ ソフトウェア開発タイプ プロトタイプ実証・実用化タイプ
内容 計測分析機器の性能を飛躍的に向上させることが期待される新規性のある独創的な要素技術の開発 最先端の研究や、ものづくり現場でのニーズに応える計測分析・機器の開発 先端的な計測分析のプロトタイプ機の実用化ならびに普及を促進するため、アプリケーション、データベース、プラットフォームなどのソフトウェア開発 ユーザーなどによる試用を通じて、プロトタイプ機の性能の実証、並びに高度化・最適化するための応用開発を行い、実用化可能な段階まで仕上げる
(開発終了時に受注生産が可能)
チーム構成 チーム/単独いずれでも実施可 産と学・官が連携したチームを構成し、チームリーダー・サブリーダを設置。
「ソフトウェア開発タイプ」は、ソフトウェア開発企業の参画が必要。
「プロトタイプ実証・実用化タイプ」のチームリーダーは企業の方。
実施場所 チームリーダーらの所属機関にて実施
実施方法 JSTがチームリーダーの所属機関(中核機関)と委託契約を締結
(参画機関は原則として中核機関と再委託契約を締結)
開発期間 3.5年間以内 特に定めない 2.5年間以内(プラットフォーム開発は3.5年間以内) 2.5年以内
開発費 開発計画に基づく適切な開発費を申請/プロトタイプ実証・実用化タイプはマッチングファンド形式
必要な物品人件費 委託費から執行(設備・備品などの所有権はJSTまたは実施機関)
開発の遂行に必要な研究員や学生、企業技術者らに支出可能
知的財産権 契約に基づき原則として開発実施機関に帰属