JST(理事長 北澤 宏一)は、中国国家自然科学基金委員会(NSFC)注1)と共同で「廃棄物・廃熱などによるエネルギーリサイクル技術」に関する5件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-中国研究交流」注3)の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1) 「新規触媒の開発に立脚したバイオマス・廃棄物からのバイオ燃料合成プロセス」
(研究代表者:富山大学 大学院理工学研究部 工学系 椿 範立 教授、中国科学院 広州エネルギー研究所 バイオマスエネルギーセンター ワン・テェジュン 教授)
本研究は、バイオマス・廃棄物から液体燃料を合成するための新しい固体触媒合成を検討し、環境低負荷型の触媒反応を検討することを目指すものです。
(2) 「環境調和型高効率廃棄物燃焼・熱分解/ガス化技術に関する共同研究」
(研究代表者:名古屋大学 大学院工学研究科 成瀬 一郎 教授、華中科学技術大学 石炭燃焼国家重点研究室 ヤオ・ホン 教授 )
本研究は、都市ゴミを燃焼する際に発生する環境汚染物質の抑制技術を開発し、その焼却システムのモデリングを目指すものです。
(3) 「バイオ燃料と太陽熱のハイブリッド加熱のスターリングエンジンによる 熱電併給システム」
(研究代表者:神奈川大学 工学部 原村 嘉彦 教授、中国科学院 工程熱物理研究所 タン・ダウェイ 教授 )
本研究は、バイオ燃料と太陽熱のハイブリッドエネルギー源による熱電供給システムを開発することを目指すものです。
(4) 「廃バイオマスからの燃料ガス生産を最適化するための微生物フローラの 制御技術開発」
(研究代表者:大阪大学 大学院基礎工学研究科 三宅 淳 教授、清華大学 化学工学系 シン・シンフイ 教授 )
本研究は、水素発酵細菌が形成した擬集体を用いて、バイオマスから高効率かつ低コストで燃料ガスを生産するシステムを開発することを目指すものです。
(5) 「高含水・高窒素含有バイオマス系廃棄物からの高効率エネルギー生成」
(研究代表者:東京工業大学 フロンティア研究機構 吉川 邦夫 教授、中国科学院 プロセス工学研究所 シュー・グワングウェン 教授)
本研究は、下水汚泥や焼酎粕などのバイオマス系廃棄物を利用するため、窒素酸化物の排出が少ないクリーンな燃焼システムの開発を目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では22件の応募があり、これらの応募課題を日本側および中国側の外部専門家により評価しました。JSTとNSFCはその結果をもとに協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本と中国がともに支援すべきと合意した5件を支援課題として決定しました。日本側、中国側とも本年9月に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。