課題名 | 「MPC処理を用いた長寿命型人工股関節」 |
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所有者 | 株式会社神戸製鋼所、石原 一彦、中村 耕三、高取 吉雄、川口 浩、茂呂 徹 |
研究者 | 国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局長 中村 耕三 東京大学 大学院工学系研究科 教授 石原 一彦 |
委託企業 | 日本メディカルマテリアル株式会社 |
開発費 | 約2億7000万円 |
開発期間 | 平成18年3月~平成23年3月 |
評価 | 人工股関節手術は、外傷や疾患で喪失した関節の機能を再建する優れた治療法であるが、手術後約10年で「弛み」を生じるため、これを防止し耐用年限を延長することが重要な課題となっている。関節面を構成するポリエチレン製の人工股関節部材(ライナー)の摩耗粉を、マクロファージが貪食して惹起される人工股関節周囲の骨吸収が「弛み」の主因である。 本新技術は、生体適合性に優れた2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマーを、関節の摺動面を構成するライナーの表面にナノメートルスケールで被覆し、摺動特性を大幅に改善させ、ライナーからの摩耗粉の産生を抑制させた人工股関節である。 本開発におけるこれまでの成果として、1)ポリエチレンライナー表面へのMPCポリマー層の安定生成条件の把握による製造技術の確立、2)品質管理手法の確立と管理基準の明確化、3)股関節シミュレーターによる摩耗試験で1000万サイクルまでの耐久性確認、4)量産化設備における重合装置の改良によるMPC使用量の低減と製造コストの大幅な削減――が挙げられる。 さらに、臨床試験を完了し、全症例数において、治験機器の不具合による有害事象の報告はなく、有効性・安全性が確認できた。平成22年4月には、製造販売承認申請書を厚生労働省に提出し、平成23年3月には、照会事項や信頼性調査の対応が完了している。 以上の委託開発実施結果から、MPCポリマー処理を施したライナーを用いた人工股関節が、薬事法に基づく医療機器製造販売承認が得られる見通しが立ったことから、成否認定基準を達成し、成功終了とするのが適当であると考える。 |
評価者 | 独創的シーズ展開事業 委託開発
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評価日 | 平成23年5月16日 |