JST(理事長 北澤 宏一)は、ブラジル国家科学技術開発審議会(CNPq)注1)と共同で「バイオマス・バイオテクノロジー」に関する2件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-ブラジル研究交流」注3)の一環として行われるものです。
支援決定した課題は次の通りです。
(1) 「バイオエネルギー生産に向けた海洋微生物ファクトリーの創成」
(研究代表者:北海道大学 大学院水産科学研究院 澤辺 智雄 教授、リオデジャネイロ連邦大学 生物学部 ファビアーノ・トンプソン 教授)
本研究は、ブラジルの珊瑚礁生態系から、海藻やサトウキビ搾りかす(バガス)をエネルギーに変換できる新規微生物とその遺伝子を発見し、それらを活用した高効率の海洋微生物ファクトリーの創成を目指すものです。
(2) 「バイオチャー利用、安定性、安全性とその適応に関する日伯共同研究」
(研究代表者:九州大学 大学院農学研究院 凌 祥之 教授、ブラジル科学院農学研究院 土壌研究所 エテルビノ・ノボトニー 主任研究員)
本研究は、作物に由来する炭化物である「バイオチャー」を主に農業用資材として利用し、作物生産性の向上だけでなく安定的な炭素貯留の資材としても活用し、地球温暖化の抑制も目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では6件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびブラジル側の外部専門家により評価しました。その結果をもとにJSTとCNPqが協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本とブラジルがともに支援すべきと合意した2件を支援課題として決定しました。日本側、ブラジル側とも本年7月に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。