JST(理事長 北澤 宏一)は、海外の研究資金配分機関と協力して東日本大震災に関連した緊急を要する研究・調査を支援する「国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J-RAPID)」において4件の研究支援課題を決定しました。
決定した研究支援課題は次の通りです。
- 「東日本大震災におけるヒューマニタリアン・ロジスティクスに関する共同研究」
- 研究代表者:京都大学 大学院工学研究科 谷口 栄一 教授
- 共同研究者(米国):レンスラー工科大学 土木環境工学部 ホセ・ホルゲン-ヴェラス 教授
- 本課題は、東日本大震災での救援物資配送に関する問題点や成功点を調査・分析し、今後起こりうる災害時の救援物資配送の改善を目指す研究です。
- 「震源域における緊急地下構造調査 -日米共同によるデータ処理・解析-」
- 研究代表者:独立行政法人 海洋研究開発機構 小平 秀一 プログラムディレクター
- 共同研究者(米国):ハワイ大学 地質学・地球科学部 グレゴリー F ムーア 教授
- 本課題は、震源域地下構造探査のデータを日米共同で迅速、かつ高精度に処理・解析し、大規模津波生成の実態を明らかにするとともに、将来の震源断層掘削の基礎データを得ることを目指す研究です。
- 「津波被害地域での復旧復興に関するロボット技術研究と調査活動」
- 研究代表者:特定非営利活動法人 国際レスキューシステム研究機構 松野 文俊 副会長/京都大学 教授
- 共同研究者(米国):テキサスA&M大学 コンピュータサイエンス&エンジニアリング学部 ロビン・マーフィー 教授
- 本課題は、東日本大震災における津波被害地域で水中ロボットを用いた港の障害物の調査と海岸部での遺体の探索を実施し、復旧復興に直接的に貢献することを目指す研究です。
- 「関東地方に広がる広域液状化による被災形態の地盤調査による解明と復旧支援に資する地盤情報の構築」
- 研究代表者:東京理科大学 理工学部 土木工学科 塚本 良道 准教授
- 共同研究者(米国):カリフォルニア大学 デービス校 土木環境工学部 ロス W ブーランジェ 教授
- 本課題は、東日本大震災での地盤の液状化による被災形態を明らかにすることにより、今後も発生が予想される地震による地盤の液状化被害の復旧支援に資する事例集の構築、および米国との情報共有を目指す研究です。
米国国立科学財団(NSF)注1)が、米国の研究者を対象に、東日本大震災および地震によって引き起こされた津波や原子力事故など、緊急を要する研究・調査を支援する教育・研究プログラム(RAPIDプログラム)の公募を開始したことに対応し、JSTはJ-RAPIDの公募を開始しました。J-RAPIDではNSF以外の海外研究資金配分機関とも協力体制をとり、米国以外の研究者との、同様の共同研究・調査も支援することとしました。JSTは、J-RAPIDによって採択された日本側研究者に対し、1件あたり300万円程度(半年~1年程度)を目安に支援を行います。
提案は平成23年4月18日(月)から募集を開始し、提出されたものから随時外部推進委員が審査を行い、海外研究資金配分機関と連携して支援を決定します。今後、支援課題を順次決定するとともに、契約などの条件が整い次第、早急に支援を開始する予定です注2)。
J-RAPIDホームページURL:https://www.jst.go.jp/sicp/announce_rapid.html