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別紙1

戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)
「東日本大震災対応・緊急研究開発成果実装支援プログラム」実装支援対象 一覧

(受付順)

  実装活動の名称 実装責任者 実装責任者の
所属・役職
主たる活動場所
(協働予定組織)
研究開発成果を得た公的資金
応急仮設住宅の生活環境改善のための統合的実装活動プログラム 丹波 史紀 福島大学 行政政策学類 准教授 福島県内(福島県庁) 文部科学省 科学研究費補助金
津波塩害農地復興のための菜の花プロジェクト 中井 裕 東北大学 大学院農学研究科 教授 宮城県内(宮城県庁、仙台市役所) 独立行政法人 生物系特定産業技術研究支援センター イノベーション創出基礎的研究推進事業
震災地域の重金属等土壌汚染評価 土屋 範芳 東北大学 大学院環境科学研究科 教授 宮城県内(宮城県庁)  文部科学省 科学技術振興調整費
大型マイクロバブル発生装置による閉鎖海域の蘇生と水産養殖の復興 大成 博文 徳山工業高等専門学校 教授 岩手県大船渡市内(大船渡市漁業協同組合) 文部科学省 科学研究費補助金
東日本大震災被災者と救援支援者における疲労の適正評価と疾病予防への支援 吉田 俊子 宮城大学 看護学部 学部長/教授 宮城県気仙沼市内、南三陸町内(気仙沼市役所、南三陸町役場) 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金
無水屎尿(しにょう)分離トイレの導入による被災地の衛生対策と災害に強い都市基盤の整備 清水 芳久 京都大学 大学院工学研究科 教授  宮城県石巻市内(石巻市役所) 独立行政法人 科学技術振興機構
戦略的創造研究推進事業 CREST

平成22年度にて新規採択は終了。

<実装活動の概要>

  実装活動の名称 実装活動の概要
応急仮設住宅の生活環境改善のための統合的実装活動プログラム  応急仮設住宅の建設に際し、「コミュニティの維持・再生」を図り、中山間地域および豪雪地帯に即した仮設住宅の生活環境、見守り支援など、ハード・ソフト両面からの基盤整備を図る。ハード(集会所・診療所・ケア付き仮設・コミュニティバスなど)・ソフト(見守り支援・子どもの学習環境・ボランティアセンターなど)両面から応急仮設住宅の生活環境の改善を図り、被災者のQOL向上に寄与する。具体的には、福島県の応急仮設住宅24000戸のうち、県内事業者が建設する4000戸を対象にし、ハード・ソフトにわたる実装活動を行う。
津波塩害農地復興のための菜の花プロジェクト 東北大学 大学院農学研究科は世界で唯一のアブラナ科作物ジーンバンクを持つが、この中から土壌のさまざまな塩分濃度に適したアブラナ科作物を選ぶ。広範な被災農地について精密な土壌分析を行って土壌塩分濃度データベースを作成し、被災農地の塩分濃度に合わせた耐塩性アブラナ科作物を播種する。来春、被災農地は菜の花に彩られ、農業復興とエコエネルギーを象徴する景観が形成され、ここから得られるナタネ油を灯火用の油またはバイオディーゼル燃料として利用し、まさに復興の灯火とする。
震災地域の重金属等土壌汚染評価 津波被災地域の土壌を採取して、地球化学的含有量、水溶出試験、塩酸溶出試験を実施し、土壌汚染リスクを評価する。また、当研究室が開発した逐次抽出法、多段階ろ過法を用いてヒ素および重金属類の化学形態を明らかにして、環境に放出されるリスクを評価し、緊急時の適切な処分方法を提案する。加えて、地圏環境インフォマティクスに格納されている鉱山情報(全国6000件以上)を活用して、危険度が高い休廃止鉱山の安全チェックを行う。
大型マイクロバブル発生装置による閉鎖海域の蘇生と水産養殖の復興 大地震に伴う大津波によって壊滅的打撃を受けた大船渡湾周辺の水産分野における問題を大型のマイクロバブル発生システムを用いて、水質浄化(酸欠、無酸素水域形成の防御)を目指す。具体的には、最も拡散しやすい水深位置に大船渡湾用に開発するマイクロバブル発生装置100機を配備し、湾内の数百メートルに渡って水質浄化する。また、水産養殖の進行に伴って、二枚貝の斃死(へいし)防止、元気化、洗浄・殺菌、品質改善のためにも小型マイクロバブル発生装置を活用する。
東日本大震災被災者と救援支援者における疲労の適正評価と疾病予防への支援 自律神経機能評価、酸化ストレス評価、睡眠・覚醒リズム評価、唾液中ウイルス評価などの手法を用いて疲労病態を客観的に評価することのできる疲労診断システムにて、被災者たちとともに被災者支援に従事している医療従事者、市町村の職員、社会福祉協議会の職員、自衛隊・警察の職員たちを対象に健康状態を客観的に把握し、過労死や突然死をはじめとする疾病の発病を予防する。
無水屎尿分離トイレの導入による被災地の衛生対策と災害に強い都市基盤の整備 容易に設置でき、被災者の心情も考慮して衛生的で快適なトイレの普及を早急に実現する。また。将来の災害に対応することが可能なシステムを構築するための活動も実施する。これらを実現すべく、後述の4項目を実装活動期間内に実施する。(1)既設のトイレを屎尿分離型にする改造便座ユニットの設計・作成・改良と普及 (2)緊急用ポータブル屎尿分離型仮設トイレの設計・作成・改良 (3)屎尿分離を組み込んだ平時・災害時兼用屎尿分離トイレシステムの設計 (4)新しい屎尿処理・下水道システム計画の策定