評価 |
本新技術は、ケモカイン受容体CCR2の細胞内C末端に選択的に結合し、免疫細胞の遊走・集積を促進するたんぱくフロントの機能を抑制することにより、慢性関節リューマチなどを引き起こす生体組織の破壊を抑止するもので、フロントをターゲットとしたスクリーニングシステムを構築し、遊走阻害活性を有し、細胞に選択的に作用するCCR2特異的機能阻害物質を探索することを目的とした。
本新技術の開発では、まず、一次スクリーニングシステムの構築に着手し、たんぱく間相互作用についてELISA法などを用いた無細胞系での評価に代わり、酵母を用いた細胞系での相互作用評価システムを用いることにより、高感度で再現性の高いスクリーニング系の構築に成功した。さらに、CCR2を介した細胞遊走活性評価において、用いる細胞株を選定・樹立し、ボイデン法およびKKチャンバー法を用いたアッセイ系の最適化を行った。
引き続いて、構築したスクリーニングシステムを用いて、微生物培養上清サンプルから2種のヒットサンプルを獲得し、システムの検証を行った。また、海外入手2万化合物からたんぱく間相互作用スクリーニングで198サンプルに絞り込み、細胞レベルでの毒性試験と遊走阻害評価試験から、ヒトおよびマウスでの種交差性のある3検体を獲得した。その中から、動物実験での炎症の評価によりリード化合物1検体(#14)を選抜した。
リード化合物#14については、成否認定基準である 細胞遊走阻害活性、 細胞毒性、 抗炎症作用危険率について、全てクリアしたことを確認した。
本新技術によるリード化合物は、さらに薬効向上を目指した類似化合物の合成展開を行うことにより、特許化し創薬開発への展開が期待される。また、本新技術により開発されたアッセイ系は、医薬品スクリーニングにおける効率的手法として広く用いられることが期待される。
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