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開発を終了した課題の評価

課題名 「水産廃棄物を用いた凝集沈殿剤の製造技術」
所有者 東京海洋大学、東洋建設株式会社
研究者 東京海洋大学 海洋科学部 海洋環境学科 助教 榎 牧子
委託企業 東洋建設株式会社
開発費 約1800万円
開発期間 平成19年3月~平成21年4月
評価  本新技術は、廃棄海藻から抽出したアルギン酸を主成分とし、廃棄貝殻から得られる塩化カルシウムを助剤とする天然物由来の凝集沈殿剤の製造技術に関するものである。
 小規模実験レベルで、コンブ、アカモクなどの褐藻から抽出した凝集剤と、カキ殻から作成した塩化カルシウム助剤が、市販製品と同等以上の凝集効果を呈することを確認した上で、海藻廃棄物発生現場近くの海藻加工工場において、最小の設備を付加することで委託製造が可能であるとの見通しが得られている。
 製造された凝集沈殿剤は、カオリン系の濁水に対し、処理後の余水(上澄み)濁度を目標とする濁度まで低減でき、また、中和処理をしなくても余水のpHがほとんど変化しないことが確認され、成否の認定基準をクリアしている。
 製造プロセスの一部を簡略化することによって製造コストを下げ、また、凝集効果の向上により単位重量当たりの凝集効果が市販のPACなどに比べ10倍程度高いため、一定規模の量産段階では現行の市販製品と価格的にも競合可能なものと期待できる。
 現在、浚渫工事などで発生する濁水の処理に広く用いられている化学系高分子凝集剤は、沈殿後の放流排水のpH対策が必要とされ、また、健康への影響が懸念されることから、今後環境負荷の少ない凝集剤として広く用いられることが期待される。
評価者 独創的シーズ展開事業 委託開発
プログラムディレクター
今成 真
プログラムオフィサー
中川 威雄、吉村 進、桐野 豊
評価日 平成21年5月19日