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開発を終了した課題の評価

課題名 「炭素繊維強化アルミニウム基複合材料の製造技術」
所有者 荻原 隆、サカイオーベックス株式会社、株式会社エー・エム・テクノロジー、独立行政法人 科学技術振興機構
研究者 福井大学 大学院工学研究科 教授 荻原 隆
委託企業 サカイオーベックス株式会社
開発費 約2億9500万円
開発期間 平成16年3月~平成21年3月
評価  本新技術は、炭素繊維とアルミニウムからなる炭素繊維強化アルミニウム基複合材料の製造技術に関するものである。
 炭素繊維とアルミニウムの複合材料については、汎用製品のポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いた場合、アルミニウムと炭素繊維の界面反応によって生成するAl4C3が炭素繊維を劣化させ、また炭素繊維とアルミニウムとの接合強度が低いために界面で剥離するという問題があり、実用化に至っていなかった。
 本新技術では、PAN系炭素繊維に金属アルコキシド溶液を用いてゾル-ゲルコーティングすることで炭素繊維表面に厚さサブミクロンのアルミナセラミックス保護膜を形成させ、その後アルミニウムを含浸させることで炭素繊維強化アルミニウム基複合材の製造方法を実現させた。
 開発企業は、炭素繊維にあらかじめ開繊処理を施し繊維の束を解きほぐすことでゾル-ゲルコーティングによる繊維表面への膜形成を容易にすると共に、均一な膜形成を目的に、ディップコーティングシステム、およびアルミ化合物+シランカップリング剤コーティング塗膜液組成の最適化を図った。同時に炭素繊維の配列、炭素繊維体積含有率と材料強度の相関性を検討し、結果として、炭素繊維表面が比較的不活性でAl4C3の生成を抑制可能な高弾性タイプ炭素繊維を使用する事で認定基準を達成した。
 本新技術による炭素繊維強化アルミニウム基複合材料は、軽量かつ高強度の材料として、輸送機・産業機器など用の軽量高強度材料、放熱基板材料などへの応用が期待される。
評価者 独創的シーズ展開事業 委託開発
 プログラムディレクター  今成 真
 プログラムオフィサー   中川 威雄、吉村 進、桐野 豊
評価日 平成21年5月25日