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モデル化の概要および成果 |
近年、テロ事件などの影響でバイオメトリクスによる個人認証の需要が高まってきているが、人間を取得画像として認識できる、顔画像認識が有効な手段として考えられている。
日本女子大学 小舘研究室ではJoint Transform Correlator(JTC)の手法を用いて、顔画像認識装置の開発を行ってきたが、光アドレス型液晶空間光変調器が必要不可欠であり、その応答時間(30~40ミリ秒)がシステム高速化のボトルネックになっていた。
そこでJTCと並んで代表的な、フーリエ変換を基本原理とした光相関演算手法であるVanderLugt Correlator(VLC)に着目し、画像表示に高速な表示器を使用して光相関演算を行うことができる顔画像認識装置の開発を行った。本方式によれば、従来機(約7枚/秒)に比べ大幅な能力向上となる、1000枚/秒の処理が可能である。300人のデータベースを用いて認識精度評価を行ったところ、本人拒否率4.6%、他人受入率3.6%という結果を得た。顔画像切り取りの前処理部分や後処理の自動化が施されれば、バイオメトリクス認証市場への参入が実現すると考えられる。
本モデル化の顔画像認識装置により、取得画像からの個人認証に応用可能な画期的な処理速度を持つ実用システムを構築でき、情報セキュリティを目的とした個人認証技術として、入退室管理、入出国管理、犯罪捜査などの市場への応用が考えられる。
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事後評価 |
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モデル化目標の達成度
3000枚/秒処理能力は達成していないが従来より100倍の1000枚/秒の結果は評価できるレベルである。本人拒否率、他人受入率1%以下は達成出来ていないが、エラー率低減のための具体策が明瞭になっているので、概ね目標を達成していると考える。 |
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知的財産権等の発生
ない。ただし、エラー率低減のための改良研究から特許の発生を期待できる。 |
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企業化開発の可能性
従来機に比べ大幅な処理能力向上が図られ、信頼性についても改善可能であるためセキュリティ分野での個人認証システムとして企業化の可能性は高い。 |
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新産業、新事業創出の期待度
顔画像認識装置は個人認証技術としてセキュリティを重視する高度な「人」の管理を行う分野で広く応用される可能性があり新産業創出が期待できる。 |
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評価のまとめ |
試作機がフィールドテスト可能なレベルに達しており、モデル化の達成度は高いと考えられる。従来機に比べ大幅な処理能力向上が図られ、信頼性についても改善可能であるためセキュリティ分野での個人認証システムとして企業化の可能性は高い。
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