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モデル化の概要および成果 |
本製造技術は、超高温環境で優れた耐酸化性を有するコーティング被膜の製造技術開発であり、ガスタービン、ジェットエンジンへの実用化を目指したものである。近年、エネルギー問題、環境問題が叫ばれている中、高温域で使用されているものは更に温度を上げることによりその熱効率が上がり、省資源化を図ることが可能となる。 高効率化を達成するために、燃焼ガスのタービン入り口温度を上昇させる傾向にあるため、従来技術の被膜(MCrAlY※アンダーコート)層のAl濃度が低下し、Al2O3スケールの保護性劣化を招くと共に、基材側には脆弱な金属間化合物(TCP相※※)を形成して材料強度を低下させる。
そこで、本製造技術開発で提案する超高温対応のコーティング被膜では、新たに基材と外層の間に拡散障壁を設け、Alの基材側への拡散を抑制する。これにより、保護膜としてのAl2O3スケールを形成するとともにそれを維持し更に剥離の際にはそれを再生する能力を有する。
その拡散障壁は、電気化学的めっき方法とクロム・アルミ拡散処理法を用いて、Re-Cr-Ni系のσ相(TBC相※※※)を形成させ、更に熱処理による被膜組織の制御を行ったものである。Ni基超合金の一つであるCMSX-4材においては、大気中1,000℃で600時間の耐酸化性を有する事が確認され、今後更に温度を上げて行き超高温の世界に対して実用化を図る。
※ MCrAlY:ニッケルまたはコバルト、クロム・アルミ・イットリウム等金属被膜
※※ TCP相:Topological Closed Packed相
※※※TBC相:Thermal Barrier Coating相
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2 ) |
事後評価 |
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モデル化目標の達成度
概ね計画通り実施され、目標は達成された。 |
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知的財産権等の発生
権利化試験事業で発生した7件の特許を出願中。新しい出願なし。 |
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企業化開発の可能性
静止部品の製品化は2~3年先に可能性がある。動体部品(タービン)への応用には未だかなり距離がある。 |
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新産業、新事業創出の期待度
重要で優れた技術であると認められる。モデル化の成果も順調であり、1150℃の耐熱性実現への技術的兆候も見えてきている。動体部品への応用技術が完成すれば新事業創出が期待される。 |
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3 ) |
評価のまとめ |
研究開発に真剣に取り組み、目標は達成された。1150℃の耐熱性実現への技術的兆候も見えてきており、重要で優れた技術であると認められる。静止部品の製品化は2~3年先に可能性があるが、動体部品(タービン)への応用には未だかなり距離がある。動体部品への応用技術が完成すれば新事業創出が期待される。
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