1 ) |
モデル化の概要および成果 |
通常の油圧ショベル(建設機械の一種)においてオペレータは、右手でブームとバケット(作業装置)、左手でアームと旋回の操作を行なう。しかし作業装置と操縦桿の動きが異なる為、操作には熟練技術が必要とされる。これら4つの操作を右手だけで、しかも作業装置と操縦桿の動きが人間感覚に合うように操作可能な特殊操縦桿(モノレバー)を開発した。これにより未熟練者でも容易に建設機械の操作が可能となった。さらに以下のオプション機能を追加した(一部開発中)。
法面整形、整地、垂直掘削等では作業装置が一定の動きをする為、これらを予め作業モードとして建設機械にプログラミングしておくことで整形、掘削作業等をさらに容易にした。 反力検知機能を追加することで、路面の深層掘削時、埋設されたライフライン(上下水道の配管、ガス管)等の損傷防止や、均一土量の掘削が可能になった。 反力検知機能と共に挟み込み型作業装置に対応したグリップをモノレバーに追加することで、家屋等を建設機械で解体する際、従来は種類を問わず挟み込みあらゆる部材をミンチ状に解体していた部材を、その種類に応じて部材からの反力を検知しながらの解体を可能にした。分別解体が可能となり部材の再利用による建設分野のリサイクル率向上に寄与できる。 建設機械の旋回時の巻き込み事故を防止するため、オペレータに旋回角度を知らせる高機能旋回センサを開発した。 遠隔操縦に対応可能にした。例えば災害現場等で活躍する遠隔操縦型の建設機械はオペレータが搭乗せずに離れた所からカメラの映像を頼りに機械を操作する。この場合、オペレータには機械とカメラ雲台の双方の操作が求められる。現在は運転の手を止めてカメラを操作してい るが本モノレバーによれば片手で建設機械を、残った手でカメラ雲台を操作できるので作業性向上に大きく寄与する。
今後、省力化施工、建設コスト削減等の要求に応えつつ、具体的には操縦桿の動きに対する作業装置の応答性(感度)の向上、操縦桿の形状改善、作業モードの多様化等を行い商品化を目指す。
|
2 ) |
事後評価 |
 |
モデル化目標の達成度
当初のモデル化目標は、ほぼ達成されたと思われる。人間感覚で操作するシステムの技術確認という目標を達成している。 |
 |
知的財産権等の発生
上下構造部の相対旋回角度計測システムの特許申請を現在検討している。 |
 |
企業化開発の可能性
廉価・信頼性の課題を解決する必要があるが重機械を人間感覚で操作できる新しい用途が期待できる。 |
 |
新産業、新事業創出の期待度
工作機械、運搬機械等への応用も可能であり、広い分野での波及が期待できる。 |
|
3 ) |
評価のまとめ |
海底マウンド造成、災害救援、過密立地の住宅分別解体等への応用が期待できる技術である。今回の成果と無線遠隔システムを合わせれば、工作機械、運搬機械等にも応用できさらに広い分野での波及効果が期待できる。
|