1 ) |
モデル化の概要および成果 |
鱗片状化合物として特徴的な「ベーマイト」※は、従来のフィラーに比べ難燃剤や補強剤として優れた特性を有しており、さらに、新しい二次製品やナノ複合材料への展開も期待される物質である。
岐阜県製品技術研究所藤吉先生との共同研究の成果を基に、無機化合物の合成に用いられる製法(焼成法など)に比べ、省エネルギーかつ簡便な「水熱合成」によりラボレベルでベーマイトの合成法を確立した。
しかしながら、ベーマイトの実用化・製品化には大量合成する技術の確立が必要不可欠であり、本モデル化では大量合成に最適な横型オートクレーブの設計・試作、試作したオートクレーブを用いたベーマイトの大量合成技術の開発・条件検討を実施した。
モデル化の結果、合成量が少量であればラボレベル同等のベーマイトが再現良く合成出来ることを確認した。しかし、大量合成するには、 所望の鱗片状形状が得られない 反応生成物が凝集する 反応が遅延するなどの問題が生じ、反応装置や反応条件の更なる検討が必要である。
本モデル化の実施によりベーマイトを企業化する際に必要な大量合成技術の確立に向けての課題が明らかとなった。
※ベーマイト・・・アルミニウムの鉱物であるボーキサイトの中に混在する天然鉱物で、正式名称は水酸化酸化アルミニウム(AlOOH)という。天然物の工業的使用は従来されていない。また、これまで合成品も工業品として一般に出回っていない。
|
2 ) |
事後評価 |
 |
モデル化目標の達成度
ベーマイトの合成に用いるオートクレーブの設計・製作は行われたが、目標とした大量合成の条件は得られていない。 |
 |
知的財産権等の発生
現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。 |
 |
企業化開発の可能性
現状では、大量合成の条件が十分に得られなかったが、今後の継続開発による条件の確立により、企業化の可能性がある。 |
 |
新産業、新事業創出の期待度
合成技術が確立できれば、新しい用途開発の可能性があり、波及効果が期待できる。 |
|
3 ) |
評価のまとめ |
オートクレーブが完成してからのベーマイトの試作は短期間であり、現在、大量合成の条件は得られていないが、これからの企業努力により合成条件が確立できれば商品化できるものと考える。今後の推進が期待される。
|