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モデル化の概要および成果 |
本モデル化で試作した「インテリジェント手形入力システム」とは、インターネットを中心とする情報ネットワーク上での「アバター型通信」(手話や熟練技能などの身振り通信)を実現するために必要となる、指や手首の動きを伝えるためのセンサを織り込んだ、手袋型インターフェイスである。
従来製品は米国製しかなく、高価(数百万円以上)で計測精度も低く専門の研究者以外には普及していない。
本試作品は、全手形の内、拇指及び示指周辺に10個/片手のオリジナル超小型直線変位検出器及び、 3個/片手の接触感知コイルを手袋上に縫製した入力部と、マイコン等の記号化部からなる。各指及び指周辺の動きを計測し、各指等の相対位置により得られる手話・指文字計測情報を14種類の手話記号(手話動作を要素化して記号で表したもの)として出力することに成功した。また、試作品より出力された記号を用いてアニメーションによる手話表現及び指文字を発信し、被験者に伝送された指文字を読み取る方法で検証された認識精度は、平均記号一致率79%となった。今後はこれらの成果を基に、前述の従来品と遜色の無いものを1/10以下の価格で商品化することを目指す。
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2 ) |
事後評価 |
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モデル化目標の達成度
指動作の10種類の記号化が目標であるところ、14種類の記号化を達成している。手話読み取りの平均一致率は79%で既存センサと比較して若干劣るが、コスト的には1/10以下にする目処がたった。 |
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知的財産権等の発生
モデル化実施期間内には申請ないが、協力研究者との共同出願を検討中 |
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企業化開発の可能性
モデル化では2指であったが全指に展開すれば商品化の可能性はあると思われる。海外輸入品に依存している市場で、約1/10のコストで販売できる可能性を達成したことは評価できる。 |
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新産業、新事業創出の期待度
手話利用関係者への貢献に加え、既存センサ並の機能でコストが1/10程度の商品ができれば、アニメーション、バーチャルリアリティ等の分野の発展に役立つと思われる。 |
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3 ) |
評価のまとめ |
既存センサとの比較などよくなされているが、機能向上とセンサの更なる信頼度向上が必要である。残る問題は手袋等の手の動きを信号化するインターフェイスとしての手袋の縫製技術やセンサの小型化技術等であり、コンダクタセンサや手袋用素材の開発が必要となる。センサや生地の生産メーカとタイアップすれば製品化が早まると推察する。理想機能から判断して60~70%の完成度である。
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