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別紙

戦略的国際科学技術協力推進事業「日本-南アフリカ研究交流」
平成21年度採択課題一覧

研究交流課題 日本側
研究代表者
所属・役職 研究交流課題概要
南アフリカ側
研究代表者
1 糞コロガシ(Euonitillus intermedius)における自然免疫 Tollシグナル伝達経路 倉田 祥一朗 東北大学
大学院薬学研究科
教授
 本研究交流は病原体にまみれた環境に生息する糞コロガシ(Euonitillus intermedius)における自然免疫Tollシグナル伝達経路の機能解明を行うことを目的とする。
 具体的には、南アフリカ側で作成が進められている糞コロガシのゲノムデータベース(Flylab Genomebase)と、日本側の自然免疫に関する分子機構を解析するさまざまなノウハウを融合させ、研究を進める。
 日本-南アフリカが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、感染症の新たな治療法開発のみならず、農業および生態系への重要性という観点からも先駆的な発展につながることが期待される。
Monde Ntwasa
(モンデ ントワサ)
University of the Witwatersrand Molecular & Cell Biology/Science 上級講師
2 代謝生化学と分子遺伝学の統合によるマラリア/HIV克服を目指した有用南アフリカ固有植物の創成 村中 俊哉 横浜市立大学
木原生物学研究所
教授
 本研究交流は植物代謝生化学と分子遺伝学を統合し、i) 抗マラリア活性物質の生合成遺伝子ディスカバリーと有用植物の作出を目指すとともに、もう一つの重大疾病であるHIVに対して、ii) 新規抗HIV活性物質の南アフリカ固有植物からのスクリーニングを行うことを目的とする。
 具体的には、日本側が有する総合的な植物代謝生化学研究、分子遺伝学的研究の技術を、南アフリカ側が有するアフリカ固有植物研究に適用して研究を進める。
 日本-南アフリカが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、アフリカにおける重大疾病(HIV、結核、マラリア)の克服、日本における生活習慣病、生活の質などの改善・克服に向けた機能性植物の開発につながる数多くのシーズが期待される。
Jacobus Johannes Marion Meyer
(ヤコブス ジョハネス マリオン マイヤー)
University of Pretoria Plant Science 教授
3 熱帯マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の小胞体に局在するHsp40シャペロンPfj2の機能解析 永田 和宏 京都大学
再生医科学研究所
教授
 本研究交流はマラリア原虫の分子シャペロンに注目し、特にHsp40、 Hsp70ファミリータンパク質の相互作用解析によって、毒性因子(virulence factor)を含む種々のマラリアタンパク質のフォールディングと赤血球への分泌過程を明らかにすることを目的とする。
 具体的には、In vitroとin vivoの解析に関して、日本側グループが主としてPfBiP(マラリア小胞体のHsp70ファミリー)の解析を、南アフリカ側グループが主としてPfj2(マラリアHsp40ファミリー)の解析を担当する。
 日本-南アフリカが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、新規薬剤ターゲットを同定できる可能性があり、脳マラリアの治療薬開発に大きな貢献が期待される。
Gregory Lloyd Blatch
(グレゴリー ロイド ブラッチ)
Rhodes University Biochemistry,Microbiology & Biotechnology 教授
4 新奇乳酸菌のプロバイオティクスならびに抗菌性ペプチドを用いた病原菌に対する新たな戦略 伊藤 喜久治 東京大学
大学院農学生命科学研究科
准教授
 本研究交流は両国の伝統的発酵食品や動物・ヒトの腸内から果糖を特異的に利用するフラクトバチルスを含めた新奇乳酸菌を分離して、日本、南アフリカ両国における多様性を明らかにし、その未解明の特徴について検討することを目的とする。
 具体的には、日本側、南アフリカ側が連携して、1)さまざまなサンプルからの乳酸菌の分離、2)分離株の同定を行い、さらに、3)代謝経路の解明、4)新たなバクテリオシンの検索ならびに特性の解析、5)バクテリオシンをナノファイバーと結合させて腸内、皮膚・粘膜や食品への応用を検討するとともに、6)バクテリオシン産生株のプロバイオティクスとしての評価――を行う。
 日本-南アフリカが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、乳酸菌の生産するバクテリオシンならびにプロバイオティクスの医学や食品保存への応用が期待される。
Leon Milner Theodore Dicks
(レオン ミルナー セオドア ディックス)
Stellenbosch University Department of Microbiology 教授