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別紙3

平成21年度 採択研究課題の概要

※研究課題の並びは、研究代表者名の五十音順です。

環境・エネルギー分野 研究領域1【領域特定型】
「気候変動の適応又は緩和に資する研究」

研究課題名 アマゾンの森林における炭素動態の広域評価 研究期間 4年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
石塚 森吉
(独立行政法人 森林総合研究所企画部 研究コーディネーター)
国内共同研究機関 東京大学
相手国名 ブラジル連邦共和国 主要相手国
研究機関
国立アマゾン研究所
研究課題の概要
 アマゾンの森林は、破壊の現状から2030年までに最大60%が消失すると予測されている。一方、開発途上国の森林減少・劣化に由来するCO2排出の削減を、温暖化緩和策としてポスト京都議定書の枠組みに組み込むことが検討されており、この実現には、森林減少・劣化の防止によって得られるCO2排出削減量の評価方法が必要である。そのために、本研究では、アマゾンを対象に劣化した森林を含む広域な森林の炭素動態の評価技術の開発を目指す。具体的には、大面積プロット、長距離横断線、多点プロットの観測に基づいて、中央アマゾンを特徴づける台地林-浸水林モザイク地形における人為影響を含む森林の炭素動態を明らかにする。また、レーダーリモートセンシングなどにより森林の炭素蓄積量・固定量をプロットから広域へスケールアップする手法を開発し、中央アマゾンの広域な森林の炭素動態を評価する。

研究課題名 氷河減少に対する水資源管理適応策モデルの開発 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
田中 仁
(東北大学 大学院工学研究科 教授)
国内共同研究機関 福島大学
相手国名 ボリビア共和国 主要相手国
研究機関
国立サン・アンドレス大学水理研究所
研究課題の概要
 ボリビアでは、温暖化による氷河の融解水によって水資源が豊富になっている一方で、将来的に氷河の縮退が進み、水資源が枯渇化することが懸念されている。このため、将来への影響予測と水資源の確保ならびに渇水への適応策が重要な課題となっている。本研究では、将来予測が可能な数値シミュレーションよって、気候変動による水需要予測を通した都市計画や総合水資源マネジメントによる社会環境と気候の変化に対する適応策を提案すること、およびボリビア国の水資源問題を自立的に取り組める研究システムを構築することを目的とする。具体的には、過去の研究により精度が高められた局所スケールにおける各要素モデル(雪氷解析、流出解析、ダム堆砂予測、水質評価、地域計画立案)の統合化とボリビア国内への拡張を行い、気候変動と社会環境変化を反映した水資源管理モデルの開発を共同で行う。

研究課題名 気候変動予測とアフリカ南部における応用 研究期間 3年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
山形 俊男
(独立行政法人 海洋研究開発機構 アプリケーションラボ ラボヘッド)
国内共同研究機関 東京大学
相手国名 南アフリカ共和国 主要相手国
研究機関
アフリカ気候地球システム科学センター
研究課題の概要
 アフリカ南部は、自然に強く依存した生産形態をとっており、気候変動リスクに対し極めて脆弱である。本研究では、アフリカ南部の気候に影響する亜熱帯ダイポールモード現象などの気候変動現象の発生と長期変動メカニズムを明らかにし、アフリカ南部社会の持続的成長に貢献することを目指す。具体的には、気候変動現象とその影響を正確に表現できる高精度の大気海洋結合モデルを用いてアンサンブル予測実験を行い、数ヵ月から数年先の気候の自然変動を予測する。この予測結果を領域モデルに取り入れて、局所的な気象現象の予測研究の推進とともに、アフリカ南部に実用的な早期予測システムを構築する。さらに、予測実験結果の解析により、気候変動現象の予測の可能性を調べるとともに、予測結果の検証作業を通して、気候モデルに用いられる雲や降水過程のパラメタリゼーションの高精度化を行う。

研究課題名 短期気候変動励起源地域における海陸観測網最適化と高精度降雨予測 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
山中 大学
(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域 上席研究員)
国内共同研究機関 京都大学、東京大学
相手国名 インドネシア共和国 主要相手国
研究機関
技術評価応用庁
研究課題の概要
 地球規模の気候変動のうち、数年程度以内の短周期気候変動の適応・緩和のためには、その励起源であるインドネシア地域の観測網最適化による高精度降雨予測が不可欠である。本研究では、過去28年の観測網建設と研究者育成を背景に、インドネシア国内での短期気候変動の影響(洪水・渇水など)を飛躍的に緩和し、それらに適応した諸改革(道路行政,作物品種転換など)を促すとともに、地球規模の気候変動予測精度の向上により同国の国際貢献度を高めることを目指す。具体的には,首都ジャカルタ近郊に海陸観測網基盤を構築し、(1)大気観測(レーダー)網・海洋観測(ブイ)網の最適化のための技術開発、(2)短期気候変動(日変化・季節内変動・エルニーニョなど)に関する研究、(3)観測データを応用した降雨など気候要素の把握・予測の高精度化を両国共同で行うとともに、それらを担う指導的研究者の育成を行う。

環境・エネルギー分野 研究領域2【領域特定型】
「生物資源の持続可能な利用に資する研究」

研究課題名 乾燥地生物資源の機能解析と有効利用 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
礒田 博子
(筑波大学 北アフリカ研究センター 教授)
国内共同研究機関 京都大学、東京工業大学
相手国名 チュニジア共和国 主要相手国
研究機関
スファックスバイオテクノロジーセンター
研究課題の概要
 近年、砂漠化による土地資源環境の劣化現象が顕在化し、21世紀の世界的な食糧生産・資源基盤の脅威となりつつある。本研究では、チュニジア乾燥地域を対象として、食文化や伝承薬効に基づく有用生物資源調査、植生分布調査を展開するとともに、乾燥地の劣化環境因子である温度・土壌塩類などの特性調査を行い生息環境を調査する。同調査を基に選別した生物資源の網羅的な成分分析および機能性解析を行い、乾燥地生物資源の種・生息環境情報、機能・成分・化合物情報などを網羅するデータベース、および種子や機能成分のバーコード管理ライブラリーを作成する。さらに、環境順応を目指した栽培・育種法の技術開発を行い、食品利用加工技術を導入することで、乾燥地生物資源の高度利用を図る。

研究課題名 持続可能な地域農業・バイオマス産業の融合 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
迫田 章義
(東京大学生産技術研究所 教授)
国内共同研究機関 東京大学、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
相手国名 ベトナム社会主義共和国 主要相手国
研究機関
ホーチミン市工科大学
研究課題の概要
 農業を産業基盤とするベトナムなどの開発途上国では、その食料生産機能を維持・拡大し、かつ地域環境を保全・改善しつつ、近代化・工業化への道を歩むために、持続可能な地域農業とバイオマス産業の融合を図ることが必要である。本研究では、ベトナム南部において、複合的な1次産業の副産物・廃棄物などからバイオ燃料・資材などを生産・消費する地産地消型バイオマス利活用システムを設計・評価し、その具現化に必要なプロセスの設計・構築・運転を行うとともに、要素技術の研究開発を、ホーチミン市およびその近郊においてパイロットプラント規模で実施する。本システムが持続可能であり、かつ、農業国の将来に必要であることを明示することで、ベトナムだけでなく農業を産業基盤とする開発途上国などに広く普及していく礎を築く。

研究課題名 地球環境悪化に対応した作物の分子育種技術の開発 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
篠崎 和子
(独立行政法人 国際農林水産業研究センター 生物資源領域 特定研究主査)
国内共同研究機関 東京大学、独立行政法人 理化学研究所
相手国名 ブラジル連邦共和国 主要相手国
研究機関
農牧研究公社(EMBRAPA)
研究課題の概要
 ブラジルではダイズが重要な作物となっているが、近年干ばつよって多大な被害を受けている。本研究では、シロイヌナズナなどのモデル植物を用いた環境ストレス耐性遺伝子群に関する研究結果や急激に進展しているダイズのゲノム解析技術を基盤として、ダイズの乾燥などの環境ストレスに対する耐性獲得に関与する遺伝子群やその発現を制御するプロモーターを明らかにし、これらの遺伝子群やプロモーターをダイズに導入することで旱魃に強い品種を開発する。さらに、圃場条件において乾燥ストレスに対する耐性などを評価し、耐性遺伝子群とプロモーターの最適の組合せを明らかにするとともに、耐性レベルが向上した形質転換系統を選抜することを目指す。

研究課題名 根寄生雑草克服によるスーダン乾燥地農業開発 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
杉本 幸裕
(神戸大学 大学院農学研究科 教授)
国内共同研究機関 総合地球環境学研究所、大阪大学、鳥取大学
相手国名 スーダン共和国 主要相手国
研究機関
スーダン科学技術大学
研究課題の概要
 根寄生雑草ストライガは、スーダンにおける農業生産を阻害する最大の生物的要因である。本研究では、化学的および栽培学的アプローチにより、ストライガの有効な防除法の開発を目指す。具体的には、化学物質に依存するストライガの発芽の特殊性を利用して、宿主の存在しない畑で自殺発芽を誘導する有効な薬剤を探索し、宿主作物とは異なるストライガ特異的な代謝に着目して、選択的な除草効果を有する薬剤を開発する。また、ストライガが宿主作物から養水分を収奪する機構を解析し、伝統的知識を盛り込んだストライガ被害を軽減する栽培法を考案する。最終的に、現地の栽培条件に適し、かつ現地住民の嗜好に配慮しつつ、ストライガに抵抗性を示すイネの品種を選抜し、その導入を図る。

研究課題名 熱帯多島海域における沿岸生態系の多重環境変動適応策 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
灘岡 和夫
(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 教授)
国内共同研究機関 北海道大学、東京大学、横浜市立大学、高知大学、長崎大学
相手国名 フィリピン共和国 主要相手国
研究機関
フィリピン大学ディリマン校 海洋研究所
研究課題の概要
 生物多様性が豊かな東南アジア沿岸域では、人為的環境負荷や地球環境変動の影響が複合的に作用することによって、生態系の劣化が急速に進行しつつある。本研究では、フィリピンの沿岸生態系を対象として、高い生物多様性と防災機能を安定的に維持し、かつ地域コミュニテーの持続的発展を可能とするための新たな沿岸生態系保全管理スキームを構築し展開する。具体的には、フィリピンにおける沿岸生態系の生物多様性維持機構を明らかにするとともに、環境ストレスの実態を包括的に評価し、多重ストレス下の生態系応答・回復過程や、ストレスをもたらす地域コミュニティーの社会経済構造を分析する。それらを踏まえて、ストレス制御や沿岸生態系回復力強化に有効な地域コミュニティー管理や海洋保護区(MPA)ネットワークなどのあり方を提示する。

研究課題名 非食糧系バイオマスの輸送用燃料化基盤技術 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
葭村 雄二
(独立行政法人 産業技術総合研究所 新燃料自動車技術研究センター 上席研究員)
国内共同研究機関 早稲田大学
相手国名 タイ王国 主要相手国
研究機関
タイ国家科学技術開発庁
研究課題の概要
 運輸部門におけるバイオ燃料導入は気候変動緩和対策として有効であり、食糧と競合しないバイオマス資源を用いた輸送用燃料技術の確立が喫緊の課題となっている。本研究では、非食糧系バイオマスから輸送用燃料の製造技術、バイオ燃料のエンジン評価・利用技術およびライフサイクルアセスメント(LCA)などを用いた評価技術を構築する。具体的には、非食糧系バイオマスとして注目されているジャトロファ(Jatropha)果実の総合利用効率を高めるため、オイル留分からの高品質バイオディーゼル燃料製造技術、オイル抽出残渣の熱分解から得られるバイオオイルの輸送用燃料化技術の開発を行う。また、各種バイオ燃料の燃焼特性、エンジン特性、排ガス特性などから新燃料の社会実装に向けた基盤を構築する。さらに、LCAなどの手法により、開発技術のCO2低減効果を明らかにする。

環境・エネルギー分野 研究領域3【領域非特定型】
「地球規模の環境課題の解決に資する研究」

研究課題名 インドにおける低炭素技術の適用促進に関する研究 研究期間 4年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
鈴木 胖
(財団法人 地球環境戦略研究機関関西研究センター 所長)
国内共同研究機関 京都大学
相手国名 インド 主要相手国
研究機関
エネルギー資源研究所
研究課題の概要
 本研究では、低炭素技術の適用を加速するための具体的な戦略を策定することを目指して、日本とインド双方における温暖化効果ガス削減に向けた技術の抽出、技術者の能力の強化、技術情報の共有基盤の整備、民間企業の協力体制の構築を行い、それらを通じて日本企業の技術の国際的適用を促進するスキームの開発を行う。具体的には、インドの製造業や都市インフラ開発企業の需要調査、投資機会や障害、成功要因などの分析を行うとともに、電力消費などの動向に基づき、優先すべき有望事業や適正技術を特定し、選定したパイロット事業に参画する中小企業に配慮した低炭素技術の適用を促進する。この適用プロセスの促進により、技術導入後の温室効果ガス(GHG)の削減効果や社会的インパクトを分析・評価し、技術提供側の日本企業においても低炭素技術の現地適正化に向けた開発の促進の提案を行う。

研究課題名 アフリカサヘル地域の持続可能な水・衛生システム開発 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
船水 尚行
(北海道大学 大学院工学研究科 教授)
国内共同研究機関 東京大学、高知工科大学、北海道大学
相手国名 ブルキナファソ 主要相手国
研究機関
国際水環境学院(2iE)
研究課題の概要
 地球規模気候変動の影響を受け、貧困指数が最も高いサブサハラ・アフリカ地域のブルキナファソにおいて、「集めない」、「混ぜない」を基本コンセプトとした水と衛生の新システム開発と実証を実施する。それによって、共同研究を通した人材の育成と西アフリカ地域における共同研究拠点を形成し、最終的には、ミレニアム開発目標達成に貢献することを目指す。具体的には、農村モデルと都市モデルを提案し、技術のイノベーションサイクルを意識して、(1)要素技術開発(資源回収型低コストトイレ、太陽熱加温・ろ過用水供給装置、雑排水処理/再生システム)、(2)農村および都市における要素技術モデルのシステム化と実証実験、(3)水・衛生システムを支える社会システムの必要機能と地域適合方策ならびに要素技術へのフィードバックを研究する。

防災分野 研究領域 「開発途上国のニーズを踏まえた防災科学技術」

研究課題名 フィリピン地震火山監視強化と防災情報の利活用推進 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
井上 公
(独立行政法人 防災科学技術研究所 地震研究部 総括主任研究員)
国内共同研究機関 名古屋大学、東海大学
相手国名 フィリピン共和国 主要相手国
研究機関
フィリピン火山地震研究所
研究課題の概要
 本研究では、フィリピンの地震観測網への広帯域地震計と自動震源解析の導入および震度速報システムの開発と導入により、迅速で正確な地震情報・震度分布と被害推定・津波情報の発信を可能とする。GPS地殻変動観測と古地震資料からフィリピンで発生し得る大地震の規模と頻度、それによる地震動を推定する。また、タール火山とマヨン火山においてリアルタイム総合火山観測監視システムを構築し、マグマの蓄積と移動の推定を可能とする。さらに、これらの地震・火山情報を総合的に発信する防災情報ポータルサイトを構築して、その利活用促進活動を行い、フィリピンの国・地方・コミュ二ティーの防災力の向上に貢献する。

研究課題名 鉱山での地震被害低減のための観測研究 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
小笠原 宏
(立命館大学 理工学部 教授)
国内共同研究機関 東北大学、東京大学
相手国名 南アフリカ共和国 主要相手国
研究機関
科学産業研究協議会(CSIR)
研究課題の概要
 日本で多発する自然地震や、鉱山採掘・トンネル掘進に伴って発生する誘発地震は、人々の安全確保の面から大きな課題とされ、その発生予測や被害の制御・軽減が強く望まれている。本研究では、高感度・高精度の微小破壊(AE)観測により、被害地震の震源断層を事前にとらえ、断層極近傍の高感度歪観測で較正することで、採掘進行に伴う応力変化の数値予測精度を向上する。また、非弾性変形や前駆すべりの開始をAE活動や歪の変化で検知する。これらを現行の鉱山地震発生予測のルーチン処理に統合するとともに、断層直近での動的応力計測により、強震動の生成機構を解明する。AEの余震観測で正確に描写された本震破壊域に基づき、より正確に応力再配分を推定し、後続地震の予測精度を高めることを目指す。

研究課題名 高潮・洪水被害の防止軽減技術の研究開発 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
中川 一
(京都大学防災研究所 教授)
国内共同研究機関 長崎大学
相手国名 バングラデシュ人民共和国 主要相手国
研究機関
バングラデシュ工科大学
研究課題の概要
 バングラデシュは古来より洪水やサイクロンに悩まされてきたが、近年では地球温暖化による海面上昇の影響も加わり、被害がさらに増大する危険に直面している。そのため、日本とバングラデシュ両国の研究者および行政などが、早急に一致団結してこの課題に取り組むことが強く望まれている。本研究では、高精度な堤防および堤内地標高のデータを利用して海面上昇の影響を考慮した高潮・洪水ハザードマップ、河道安定化、避難システムなどについて検討する。また、汚染物質などの氾濫・堆積・地下浸透などによる生活環境の悪化とその対策についても検討する。さらに、そこで得られた研究開発成果の社会実装を図る。一方、人材育成面では、バングラデシュ工科大学の水・洪水管理研究所と協働で大学院における水防災教育プログラムを構築し、JICA支援科目「水防災学」を開講する。

研究課題名 自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
村井 純
(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
国内共同研究機関 東京大学
相手国名 インド 主要相手国
研究機関
インド工科大学ハイデラバード校
研究課題の概要
 従来から、災害の兆候の早期発見による被害の軽減や、災害発生直後の状況把握、救援活動における迅速かつ適切な資源配分、復旧復興における情報の活用など、世界各地で発生する自然災害における情報の活用は重要な課題とされてきたが、未だ災害時における情報の有効な活用基盤は確立されていない。本研究では、日本とインドを例として、グローバルな情報ネットワークを活用して地震・気象データなどの継続的収集・分析基盤を構築するとともに、災害発時の救援・救出活動支援および復旧・復興支援に供する技術基盤を開発することが目的である。具体的には、(1)災害情報の収集と分析環境構築、(2)自然災害用通信パッケージの構築、(3)救援、復旧、復興のための情報活用基盤の構築に取り組む。

研究課題名 ペルーにおける地震・津波減災技術の向上に関する研究 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
山崎 文雄
(千葉大学 大学院工学研究科 教授)
国内共同研究機関 東北大学、独立行政法人 建築研究所、東京工業大学
相手国名 ペルー共和国 主要相手国
研究機関
ペルー国立工科大学 日本・ペルー地震防災センター
研究課題の概要
 本研究では、ペルーにおける地震・津波災害の軽減を図るため、両国の研究者の強い連携のもとに、地域特性を考慮した総合的な防災研究を実施する。具体的には、(1)震源モデルによる地震動予測を行うとともに、地震観測や微動観測を実施して、地形・地盤条件を考慮した地盤ゾーニングを行う、(2)過去の津波事例を調査した上で、海底地形などを考慮した津波シミュレーションを実施し、その結果をまとめて津波減災対策を示す、 (3)建物現況調査を行うとともに、耐震補強効果を構造実験および数値解析で検討する、(4)リモートセンシングに基づいた空間基盤データ構築と災害把握手法を開発し、地震被害予測を実施する、(5)シナリオ地震・津波の被害予測結果に基づいて、地域減災計画を作成する。そのなかで、ペルーにおける地震・津波減災技術の向上を図りつつ、併せて研究成果の社会実装を進める。さらに、これらの減災技術をアジア・太平洋地域に波及させるための戦略を検討する。

感染症分野 研究領域 「開発途上国のニーズを踏まえた感染症対策研究」

研究課題名 ブラジル国エイズ患者における真菌症対策 研究期間 3年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
亀井 克彦
(千葉大学真菌医学研究センター 教授)
国内共同研究機関  
相手国名 ブラジル連邦共和国 主要相手国
研究機関
サンパウロ州立カンピーナス大学
研究課題の概要
 真菌症は、エイズ感染や老化などにより免疫力の低下した人々にとって、命を奪い、生活の質(QOL)を低下させる脅威である。ブラジルにおいては、高度病原真菌に起因する地方病も加わり、エイズ感染者のおかれた状況がさらに悪化している。本研究では、ブラジルのサンパウロ州立カンピーナス大学医学部感染症科教授および同病院のエイズ専門の医師と協力し、同大学病院や周辺医療機関を治療目的で訪れるエイズ患者に発症する真菌症の疫学調査を実施し、千葉大学真菌医学研究センターで開発した菌種同定のDNAチップや遺伝子診断法を基に、迅速簡便な診断・同定法を共同で開発し、同地域はもとより同国がエイズ対策を進めるアフリカ・ポルトガル言語圏や中南米各国、日本におけるエイズ感染者などの真菌症の克服、QOLの改善に役立てることを目的としている。

研究課題名 フラビウイルス等に対する抗ウイルス薬及びワクチンの開発 研究期間 4年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
堀田 博
(神戸大学医学研究科附属感染症センター センター長・教授)
国内共同研究機関 独立行政法人 医薬基盤研究所
相手国名 インドネシア共和国 主要相手国
研究機関
インドネシア大学
研究課題の概要
 本研究では、インドネシアと共同で、インドネシア特有および日本の薬用植物資源・天然抽出物を用いてフラビウイルスなど(C型肝炎ウイルスおよびデングウイルス)に対する抗ウイルス薬のスクリーニングと作用機序の解析を行う。また、フラビウイルスなどのエンベロープたんぱく質を発現するDNAワクチンあるいはそれを応用した組換え水痘生ワクチンを作製し、動物実験によりウイルス中和抗体や細胞性免疫の誘導能について調べる。これら共同研究およびインドネシア人研究者の日本への招へいを通して、インドネシアにおける研究技術の向上や人材育成を目指す。

研究課題名 ガーナ由来薬用植物抽出物による感染症制御 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
山岡 昇司
(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 教授)
国内共同研究機関 長崎国際大学
相手国名 ガーナ共和国 主要相手国
研究機関
野口記念医学研究所
研究課題の概要
 本研究では、ガーナに自生し感染症治療に用いられているハーブの有効成分の解析、抗ウイルス・寄生虫活性を有するハーブのアッセイ系確立と機序解析などを通して、新規・効率的治療法の開発に貢献することを目的とする。具体的には、抗ウイルス・寄生虫活性を指標とするハーブのスクリーニングに用いるアッセイ系の改良と確立、ハーブの作用機序および有効成分の構造活性相関の解析を行う。この研究によって感染症治療に有効と考えられる伝統医療システムに科学的エビデンスを付加し、伝統医療の標準化とガーナの実情に即した持続可能な治療戦略の確立を目指す。

研究課題名 フィリピンのレプトスピラ感染症の予防とコントロール 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
吉田 真一
(九州大学 大学院医学研究院 教授)
国内共同研究機関 千葉科学大学、国立感染症研究所
相手国名 フィリピン共和国 主要相手国
研究機関
フィリピン大学マニラ校公衆衛生学部
研究課題の概要
 レプトスピラ感染症は、発熱、黄疸、腎不全、肺出血をきたす細菌感染症であり、フィリピンは流行国の1つである。本研究では、フィリピンのみならず、地球規模でのレプトスピラ感染症の予防とコントロールに資する共同研究を目的とする。そのために、レプトスピラ感染の実態把握のための疫学調査を行い、早期診断・早期治療のための迅速診断キットおよび多様な血清型に対して有効なDNAワクチン開発や病態の解析と病原因子の研究により、発症メカニズムを明らかにするなどの研究を共同で行う。これら国際共同研究により、レプトスピラ感染症の予防とコントロールおよび国内外の研究者の育成を行う。