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別紙3

平成21年度 機器開発プログラム「領域特定型」の開発領域について

開発領域1 【一般領域】

(領域名)

 進化工学・分子デザイン手法等による高機能性バイオセンサー・デバイスを備えた計測分析

(概要)

 核酸やペプチドの進化工学・分子デザイン、あるいは糖質、脂質、タンパク質等の新たな工学的手法の開発による、新しい高機能性バイオセンサーやデバイスを備えた計測分析システムを開発する。

(期待される効果の例)

・生きた生体試料(細胞を含む)のイメージングを可能とし、細胞・個体形成メカニズム、情報伝達メカニズム等について新たな知見を得ることが期待される。

・核酸、特にRNAは、タンパク質と同様に様々な立体構造を作り、抗体よりも優れた標的認識活性を持つことができる。そのため、現在の生命科学研究で計測分析分離に不可欠な役割を持つ抗体を凌駕する新しいツールの開発が期待でき、さらにそれにより、がん及びその他疾病の発生機構の解明とiPS細胞を含む細胞医学の発展に貢献することが期待できる。

・創出されたツールは、がん及びその他疾病の診断と治療のための医薬としての開発が可能で、急成長を遂げる抗体医薬に代わる次世代の分子標的(高分子)医薬としての発展が期待できる。

・バイオマテリアルを用いた新たな高機能性ツールの開発によって、バイオマテリアルの持つ潜在的な特性や能力が理解でき、ノンコーディングRNA研究を含め、生命科学研究の発展に貢献することが期待できる。

開発領域2 【一般領域】【応用領域】

(領域名)

 物質・材料の3次元構造解析及び可視化計測

(概要)

 生体物質・材料、デバイス材料、素形材等の3次元構造を計測・解析し、イメージング解析等の技術を用いて、構造の可視化、または欠陥・異常部位の検出を行うシステムを開発する。

(期待される効果の例)

・生体物質・材料等の分野において、立体構造と機能との関係を解明し、新たな機能を付与した新機能生体材料の開発に貢献できる。

・鉄鋼材料、セラミック材料などの「ものづくり」において、スラブやインゴット等の塊状中間体の段階で異常部位を特定し、その部分を排除または無害化することにより製品歩留向上が期待される。

・半導体材料、デバイス材料などにおいても同様に、開発時や生産時で異常部位、異物付着を特定し、製品歩留向上が期待される。

・また、ミクロ解析を併用して異常発生機構を解明し、対策を構築することで製品歩留および生産性向上が期待される。

・さらに、解明した異常発生機構に基づき、新商品および新製造プロセスの開発促進が期待される。

開発領域3 【応用領域】

(領域名)

 経年使用材料の寿命推定を可能にする計測分析

(概要)

 様々な環境下における人工構造物やデバイス材料等を腐食や損傷、故障、劣化状態を計測し、寿命を推定するシステムを開発する。

(期待される効果の例)

・損傷の存在と進展を許容しながら構造健全性を維持する構造物設計方法「損傷許容設計」の高精度化、高信頼性が図られ、構造物の確かな余寿命推定が期待される。

・プラント反応装置だけでなく、配管系、とりわけ保温材下の配管について、保温材を取り除くことなく稼働状況下で腐食モニタリングが可能となる。

・構造物の材料として、金属材料だけでなく、近年、大量に使用される有機・高分子材料においても、腐食や損傷状態を計測することが期待される。

・電子デバイス材料等において、寿命に係る計測と連携したシミュレーションや信頼性モデルを構築することが可能となり、製品の事故を低減することが期待される。