戦略的国際科学技術協力推進事業
「日本-フランス(CNRS)研究交流」平成20年度採択課題一覧
研究交流課題 | 日本側 研究代表者 |
所属・役職 | 研究交流課題概要 | |
フランス側 研究代表者 | ||||
1 | 海洋植物プランクトンにおける光合成機能適応の分子基盤の解析 | 皆川 純 | 北海道大学低温科学研究所 准教授 | 本研究交流は、変動する環境条件に対し代表的な植物プランクトンがとる順化・適応の戦略を明らかにすることを目的とし、室内の厳密にコントロールした条件の中で分子レベルの解析を行うものである。 日本側研究チームは光化学系複合体、集光装置複合体を大量精製した後に、生化学的・分光学的解析を加える。フランス側研究チームはCCDカメラを用いたハイスループット蛍光スクリーニング法を確立し、栄養条件、光条件、温度条件など、植物プランクトンの光合成機能に及ぼす環境変動要因の境界条件を決定し、分子生理学的手法を中心に解析を加える。両国の研究チームは、最初にモデル種から研究を始め、最終的にはエコタイプにまで解析を進める。 |
Giovanni Finazzi (ジョバンニ・フィナッツィ) |
CNRS UMR7141 第一級研究員 | |||
2 | フローサイトメトリ分離細胞の全ゲノム増幅に基づく非培養海産微細藻のメタゲノムと分類 | 河地 正伸 | (独)国立環境研究所 生物圏環境研究領域 主任研究員 | 本研究交流は、海洋環境の基礎生産者として、その生態学的重要性や生物多様性の高さが指摘されているにも関わらず、実体の不明な点の多いピコからナノサイズの微細藻群を対象として、ゲノムと分類情報を包括的に解析するための研究手法を開発すること、そして開発手法をさまざまな海洋環境試料に適用することで、特に未培養・未知微細藻群に関するメタゲノムなどのゲノム情報と分類情報を集積することを目標として、研究および研究交流を実施する。さまざまな海洋環境から収集した生物のゲノム情報や培養株をバイオリソースとして利用できる体制の整備も併せて行う予定である。 日本側研究チームの微細藻の分類・生態学に関する専門性とフランス側研究チームの分子生態学とゲノム解析に関する専門性という各々の特徴を補完することで、効率よく研究を推進し、共有化した開発技術や研究成果などの情報発信も積極的に行いたいと考えている。 |
Daniel Vaulot (ダニエル・ヴォロ) |
CNRS UMR7144 主任研究員 | |||
3 | 海洋脊索動物の構造と機能グライコミクス | 北島 健 | 名古屋大学生物機能開発利用研究センター 教授 | 本研究交流では、海洋脊索動物門の世界初の系統的な構造と機能のグライコミクス解析を行う。 具体的には、日本側研究チームがナメクジウオ類、ホヤ類、硬骨魚ゼブラフィッシュ、メダカを代表として、これらの生物種の臓器と発生過程における複合糖質の糖鎖の構造を解析する。同時に、糖鎖の生合成と分解に関わる糖鎖遺伝子の生物種間の共通点と相違点を明らかにする。さらに新奇生理活性分子の探索を行う。とりわけ受精と初期発生における、シアル酸の構造と機能に着目して研究を遂行する。フランス側研究チームは糖鎖構造生物学およびゲノム解析の専門家、日本側は魚類を中心にした糖鎖生物学、海洋生物学および生物学の専門家が有機的連携をはかって取り組むことにしている。 |
Yann Guerardel (ヤン・ゲラルデル) |
リール技術科学大学 構造と機能糖鎖生物学部門 チームリーダー | |||
4 | 超好熱性Thermococcales属古細菌のウイルス様脂質膜小胞体の分子機能とその形成機構の解明 | 松井 郁夫 | (独)産業技術総合研究所 脳神経情報研究部門 主任研究員 | 本研究交流では、ウイルス様脂質膜小胞体の生物学的多様性と遺伝子水平伝搬に果たす生理機能を解明する。さらに、膜小胞輸送に関するたんぱく質の起源と進化の問題解決への端緒を開くことを目的とする。 日本側研究チームは生化学と構造生物学に関する高い専門性を有する一方で、フランス側研究チームは超好熱菌の培養や遺伝学と膜小胞産生に関する専門性を有する。このような両研究チームの高い専門性を相互補完的に活用しつつ、研究目的の達成につなげていく。 |
Patrick Forterre (パトリック・フォルテール) |
CNRS UMR8621 教授 |