戦略的国際科学技術協力推進事業
平成20年度「日本-中国(NSFC)研究交流」採択課題一覧
研究交流課題 | 日本側 研究代表者 |
所属・役職 | 研究交流課題概要 | |
中国側 研究代表者 | 所属・役職 | |||
1 | 安全な農産物生産を目的とした重金属汚染土壌のバイオリメディエーション技術の開発 | 荒尾 知人 | 独立行政法人 農業環境技術研究所 研究プロジェクトリーダー | 本研究は、カドミウム、砒素汚染土壌のファイトレメディエーション、バイオレメディエーションに関するものであり、生物機能を活用した環境修復技術の開発を目的としたものである。具体的には、日中それぞれが得意な植物を中心としたカドミウム汚染土壌の修復植物の選抜を行い、環境修復植物の吸収・除去促進技術の開発や、修復過程のモニタリングを日中間で協力して実施し、高吸収植物のカドミウム吸収機構を生理レベル、遺伝子レベルで解明を行う。さらに、有機ヒ素汚染土壌のバイオレメディエーション技術においては、日本側の微生物を利用した有機ヒ素分解技術と中国側のシダ植物を利用したファイトエクストラクション技術を融合した技術開発を実施する。 |
Yongming Luo | 中国科学院 土壌研究所 バイオレメディエーション研究センター 部長兼教授 | |||
2 | 水田生態系を用いた家畜廃水浄化と水稲生産の可能性とそのリスク評価 | 平沢 正 | 東京農工大学 共生科学技術研究科(研究院) 教授 | 本研究は、日中の地方における家畜廃棄物から生じる水資源汚染問題解決に向け、水稲の生産と土壌の質の保全を確保しつつ、有機性廃水の汚染を除去・浄化するための水田の生態系機能の利用・拡張方法の確立を目的としている。具体的には、日中間の綿密な協力の下で、![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
Jun Lu | Zhejiang University, Department of Natural Resources, College of Environmental Science and Natural Resources, 副学部長兼教授(College) | |||
3 | 土壌の酸性化機構の解析と生物による酸性土壌の新規修復技術の開発 | 長谷川 功 | 日本大学 生物資源科学部 教授 | 本研究は、酸性土壌の修復技術の開発を目的としている。具体的には、日本側の有する酸性硫酸塩土壌に関わる知見と、中国側の有する作物植物のアルミニウム過剰害耐性機構の知見を組合せ、イオウ代謝系を指標とする植物・微生物の酸性土壌適応性能の新規探索法を開発し、得られた耐性植物・微生物の酸性土壌適応機構の生理学的解析、特に複合的ストレスに対する適応遺伝子の機能解明を行うとともに、植物・微生物共生系の構築による植物の酸性土壌適応機構の解析を行う。 |
Renfang Shen | 中国科学院 Institute of Soil Science 教授 | |||
4 | 生物機能を強化した水環境のバイオレメディエーション | 細見 正明 | 東京農工大学 共生科学技術研究科(研究院) 教授 | 本研究では、富栄養化した水環境および水環境に係わる農地や森林における窒素、炭素、リンの循環を解明することと共に植物の生理機能を利用することにより、生物機能を強化した水環境のバイオレメディエーション技術、さらには生態系の機能回復を目指したエコレメディエーション技術の確立を目的とする。具体的には、(1) 森林や農地における面源負荷の削減対策の実施と評価、(2) 水田の自然浄化および生産機能を強化した水質浄化および栄養塩除去機能の定量的評価、(3) 水生植物を利用した人工施設による水質浄化機能の評価、(4) アレロパシー注)による藍藻類の増殖抑制のために、アレロパシー効果のある植物の選定とアレロパシー・メカニズムの解明といった研究を実施する。
注)アレロパシー現象 |
Weiming Shi | 中国科学院 Institute of Soil Science 教授 | |||
5 | 高機能微生物群集と根圏浄化能強化水生植物を用いた水環境汚染の修復 | 森 一博 | 山梨大学 医学工学総合研究部 准教授 | 本研究は、河川や湖沼における高度な富栄養化状態や難分解性有機物による汚染が問題になっている水資源・水環境問題を解決すべく、低コスト環境低負荷型水環境浄化技術の開発を目的としている。具体的には、研究対象を自然浄化作用による除去が困難な難分解性有機物で富栄養化の主要因であるリンの除去とする。リンのような難分解性を含む有機物や栄養塩による水系汚染は、(1)工場廃水および農業・生活排水からの直接的な流入と、(2)底泥からの水系への放出、の2つの流入経路が考えられ、汚染水域の浄化には両者に対応した浄化技術の開発が必要となる。日本の研究者チームが水生植物ならびに植物根圏微生物を活用した(1)に対応する有機物・栄養塩除去技術の開発を、中国の研究者チームが環境修復微生物製剤および水生植物を用いた(2)に対応する有機物・栄養塩除去技術を開発する。その後、日中両チームがそれぞれ得た成果を融合し、(1)と(2)の両方に対応した新規有機物汚染・富栄養化水域浄化技術の開発を行う。 |
Xiaolei Wu | Peking University College of Engineering 教授 |