この度、平成18年度に開始しました研究開発課題「環境改善を指向したマイクロカプセルの調製と製造」(開発代表者:幡手泰雄 鹿児島大学教授、起業家:根津修美雄)において、環境負荷の少ない多様性マイクロカプセルを開発しました。また、この成果を基にメンバーなどが出資して、「株式会社 MCラボ」(代表取締役社長 幡手泰雄、本社:鹿児島市、資本金:2500万円)を平成20年1月22日に設立しました。
マイクロカプセルとは、大きさ(直径)が数μm注1)~数千μmの有機または無機物質でできた小さな容器(薄膜)であり、薬剤などの芯物質注2)を入れることができます。
本研究開発チームでは、それぞれの芯物質に応じたマイクロカプセルの最適化を行い、その第一段階の製品として、殺虫剤の代わりとなる昆虫フェロモンを内包し長時間効果が持続するマイクロカプセルを開発しました。このマイクロカプセルは、カプセル自体が生分解性ポリマーでできており、かつ、芯物質に害虫が嫌う昆虫フェロモンを利用しているため、環境負荷が従来の殺虫剤より格段に少ないという特徴があります。
株式会社 MCラボでは、今後も自然環境の保全や人の生活環境改善に役立つ新規マイクロカプセルを開発していく予定です。
今回の「株式会社 MCラボ」の設立により大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は67社となりました。
<開発の背景>
小さな孔があいているマイクロカプセルに芯物質を入れた場合、マイクロカプセルの壁を通して、長時間にわたってゆっくりと芯物質を外部へ放出させることができます。この「徐放性」といわれる性質を利用して、殺虫剤や芳香剤などさまざまな用途にマイクロカプセルが使われています。しかしながら、芯物質の時間的・空間的放出量の制御が難しいという問題があり、芯物質の効果が長期間持続するマイクロカプセルの開発が望まれていました。また、本研究開発チームは昆虫フェロモンに着目し、マイクロカプセルに応用することで従来の殺虫剤よりも環境負荷の少ない効果的な製品の開発を目指しました。
<研究開発の内容>
本研究開発では、それぞれの芯物質に応じたマイクロカプセルの最適化を行い、その第一段階の製品として、殺虫剤の代わりとなる、昆虫フェロモンを内包し長時間効果が持続するマイクロカプセルを開発しました。このマイクロカプセルは、カプセル自体が生分解性ポリマーでできており、かつ、芯物質に害虫が嫌う昆虫フェロモンを利用しているため、環境負荷が従来の殺虫剤より格段に少ないという特徴があります。このほか、本研究開発では、芯物質に有用微生物を用い土壌改良剤に応用することで、環境改善に貢献できるマイクロカプセルなども開発いたしました。
<今後の事業展開>
通常のマイクロカプセルでは日中の高温時に薬剤が多く放出されてしまうことから、夜行性の害虫に対して効果が弱いという問題があり、現在、高温時での放出を抑制する新たな機能を持ったマイクロカプセルの開発を進めております。株式会社 MCラボでは、今後も自然環境の保全や人の生活環境改善に役立つマイクロカプセルを開発していく予定です。
<用語解説>
注1)μm(マイクロメートル):
1000分の1mm(ミリメートル)
注2)芯物質:
マイクロカプセル内部の空間に入れる内容物
<原理および特徴>
■昆虫フェロモンマイクロカプセル<本件お問い合わせ先>
株式会社 MCラボ
鹿児島市西田1-3-2-808
幡手 泰雄(ハタテ ヤスオ)
TEL:099-265-8752 FAX:099-265-8752
独立行政法人 科学技術振興機構
産学連携事業部 技術展開部 新規事業創出課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
徳山 亜季(トクヤマ アキ)、 薄井 一司(ウスイ カズシ)
TEL:03-5214-0016 FAX:03-5214-0017