平成17年度に開始した研究開発課題「低HDL注1)血症治療の総合的技術開発」(開発代表者:横山 信治 名古屋市立大学 教授、起業家:金 澤一)の成果をもとに、メンバーらが出資して、「ハイクスラボラトリーズ合同会社」(業務執行社員・代表 本多 睦穂、本社:愛知県名古屋市、資本金:100万円)を平成20年3月6日に設立しました。
動脈硬化性疾患は、心筋梗塞などの心臓血管障害と脳血管障害を合わせると、がんと並んで日本人の死因の1/3を占め、その予防と治療は日本の健康福祉における大きな課題の1つです。その予防には、生活習慣の改善とともに安全で効果的な薬剤などが必要とされており、ハイクスラボラトリーズは、この薬剤を開発することを目的として設立されました。
ハイクスラボラトリーズは当面、血液中のHDLを増加させる薬剤の研究開発を進めていきます。最初の製品は数年以内の臨床開発を目指し、さらに、総合的な動脈硬化予防の技術開発への取り組みも計画しています。
今回のハイクスラボラトリーズ合同会社の設立により、プレベンチャー企業および大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は、66社となりました。
<開発の背景>
動脈硬化性疾患は、心筋梗塞などの心臓血管障害と脳血管障害を合わせると、がんと並んで日本人の死因の1/3を占め、その予防と治療は日本の健康福祉における大きな課題の1つです。この増加の背景には、過食や運動不足のような生活習慣と関連した「メタボリック症候群」や「高コレステロール血症」などに代表される潜在的健康障害があります。
この予防のために、生活習慣の改善とともに安全で効果的な薬剤などの開発が望まれています。
<設立後の開発内容>
ハイクスラボラトリーズは当面、血液中のHDLを増加させる薬剤の研究開発を進めていきます。HDLは、全身の細胞にあるコレステロールを肝臓に運んで胆汁酸に変え、体外に排泄する機能を持ち、これによりコレステロールが血管へ蓄積して動脈硬化が起こるのを防ぎます。また、HDLがさらに増えると、貯まったコレステロールを運び出してくれます。このように、HDLの増加によって心筋梗塞や脳梗塞の半分以上が予防できるという試算もあります。
薬剤の開発が成功すれば、現在のLDL注2)の低下薬(世界市場2兆円)をしのぐ市場効果が期待されます。
<今後の事業展開>
現在、HDLの産生や機能に関する長年の基礎的研究で世界をリードしてきた名古屋市立大学の研究成果から、全く新しいタイプのHDL増加薬の開発を進めており、最初の製品は数年以内の臨床開発を目指しています。さらに総合的な動脈硬化予防の技術開発への取り組みを展望しています。
<用語解説>
注1)HDL(High Density Lipoprotein)
いわゆる善玉コレステロール。血液の中にある直径10ナノメートル(1 mm の10万分の1)の粒子で、コレステロールを全身の細胞から肝臓へ運ぶ。これが血液中で増えると動脈硬化症にかかりにくくなる。これを効果的に増やす薬剤の開発には、世界の製薬会社がしのぎを削っているが、いまだ実現していない。
注2)LDL(Low Density Lipoprotein)
いわゆる悪玉コレステロール。血液の中にある直径20ナノメートル(1mm の10万分の2)の粒子で、コレステロールを肝臓から全身の細胞へ運ぶ。これが血液中で増えると動脈硬化症にかかりやすくなる。これを減らす薬が、現在広く使われている「コレステロール低下薬」だが、全世界で2兆円を超える市場となっている。
<お問い合わせ先>
ハイクスラボラトリーズ合同会社
〒464-0858 愛知県名古屋市千種区千種2-22-8
横山 信治(ヨコヤマ シンジ)
Tel:052-387-7550
E-mail:
独立行政法人 科学技術振興機構 産学連携事業部 技術展開部 新規事業創出課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
中村 武広(ナカムラ タケヒロ)、浅野 保(アサノ タモツ)
Tel:03-5214-0016 Fax:03-5214-0017
■企業概要
社名 | : | ハイクスラボラトリーズ合同会社 | |
設立日 | : | 平成20年3月6日 | |
所在地 | : | 〒464-0858 愛知県名古屋市千種区千種2-22-8 | |
資本金 | : | 100万円 | |
役員 | : | 事業執行社員 | (代表)本多 睦穂 |
事業執行役員 | 横山 信治 | ||
事業内容および事業形態 : | 医薬品開発、栄養補助食品等の開発、これらに関するコンサルティング |