<選考方法の見直し>
今回の選考より、競争的研究資金制度におけるプログラムオフィサーに相当する評価者1名が、他の有識者の協力を得て、1件の研究領域及び研究総括候補を選出する、新たな選考方法を導入しました。
評価者をパネルオフィサー、協力する有識者をパネルメンバーと呼び、パネルオフィサー1名にパネルメンバー4名を加えて1つの選考パネルとしました。このような選考パネルを5つ設置して、それぞれに選考を進め、最終的に5件の研究領域及び研究総括候補を選出することとしました。
一般的に行われている評価委員会での"合議"による選考は、多くの委員から高く評価される優れた提案あるいは候補者を採択することが可能です。一方で、評価が割れるものは採択に至らず、埋もれた才能の発掘や、評価が定まる以前の探索的な研究テーマの採択には向かないのではないかとの疑問が呈されていました。今回、戦略的創造研究推進事業(ERATO型研究)では、選考パネル内での合議によらず、パネルオフィサーが最終的な絞り込みを行えるようにすることで、ERATO型研究により相応しい候補者と研究構想が採択されることを期待しました。
また、個々の選考パネルを比較的小さなユニットとしたことで、機動的な選考活動が可能となりました。選考パネルごとに必要に応じ、書類選考を2段階にする、通常の面接選考に代えて候補者の研究室訪問(サイトビジット)を実施する、選考の各段階で生じた疑問を候補者に逐次確認するなど、他に類を見ないきめ細かい選考活動が行われました。JSTでは、この様な選考活動を実現するため、選考パネルごとに本部職員を担当として配し、支援を行いました。
さらに、各選考パネルおいて、外国人有識者1名をパネルメンバーに加え、評価の国際化を図りました。これに伴い、研究構想等の提案書類や書類選考会、面接選考会等には、英語を用いることとしました。
<決定手順>
[推薦公募及び独自調査による一次候補者母集団の作成(1,150名)]
以下に基づき、一次候補者母集団を作成しました。
平成18年11月6日から12月25日の間に、全国の大学、公的研究機関、民間企業研究開発部門に所属する研究者の方を対象に、研究総括に相応しい人物と、その方に期待する研究領域について、個人資格での推薦(他薦)を公募しました。
シンクタンクに委託し、2,000名程度の学識経験者等に対し、基礎的研究領域において、今後新しい分野を切り拓いていく、あるいは新しい研究の流れを創り出していく可能性を秘めた人材、また、将来のグループ研究のリーダーとして注目している人材、研究テーマ等について調査を毎年実施しております。今回の選考では、平成16年度以降の調査結果に基づいて候補者リストを作成しました。
その他、過去に研究構想の提案依頼を行った研究者等を候補者として追加しました。上記手順を経て、1,150名を今回の選考における一次候補者としました。
研究領域の選定及び研究総括の指定に係る調査、選考等を的確かつ効果的に実施するため、外部有識者5名をパネルオフィサー(競争的資金制度におけるプログラムオフィサーに相当)に委嘱しました。パネルオフィサーの人選にあたっては、以下に配慮し、JSTの諮問機関である科学技術振興審議会の意見に基づいて指定いたしました。
[選考パネルによる二次候補者の絞り込み(1,150名→43名)]
一次候補者について、各選考パネルにおいて絞り込みを行い、研究構想の提案を依頼すべき候補者43名を選出しました(二次候補者)。
上記43名の候補者に対し、研究領域の構想・経歴書等の作成を依頼したところ、29名の研究者より研究領域の構想等の提出がありました(14名は辞退)。
研究領域の構想等の提出があった29件の研究総括及び研究領域候補について、各選考パネルにおいて書類選考(29件)及び面接選考(13件)を行いました。面接選考は、必要に応じて、候補者の研究室訪問(サイトビジット)により行いました。最終的に、各選考パネルにおいてパネルオフィサーの判断で1件の研究領域及び研究総括の候補を選出し、計5件を選定しました。
なお、各選考パネルの選考会の日程等は以下のとおりです。
・ 青山パネル
書類選考会:7月31日(4件→2件)⇒ 面接選考会:8月29日(2件→1件)
・ 岡野パネル
書類選考会:8月 2日(6件→2件)⇒ サイトビジット:8月21日(2件→1件)
・ 玉尾パネル
書類選考会:6月29日(7件→2件)⇒ 面接選考会:8月23日(2件→1件)
・ 江刺パネル
書類選考会:7月10日(5件→3件)⇒ サイトビジット:8月28~30日(3件→1件)
・ 榊パネル
書類選考会:6月30日(7件→6件)及び7月28日(6件→4件)⇒
面接選考会:9月 1日(4件→1件)
