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<用語解説>

注1)変性状態:
ランダムなコイルのような天然状態の折り畳んだ構造とは違い、"ほどけた"構造群の集まりから成る局所平衡状態と考えられている。

注2)局所平衡状態:
たんぱく質などの立体構造群の集まりに相当し、系はその構造群の間を十分巡った後に別の(局所平衡)状態へ遷移する。

注3)天然状態:
(たんぱく質などの)生体分子が正しく折り畳んだ構造に相当し、その構造において、生体分子は正常な機能を発揮することができると考えられている。また、たんぱく質はそれぞれのアミノ酸配列に固有の立体構造を自発的に形成することから、たんぱく質の天然状態は熱力学的に最も安定な状態であると考えられている。

注4)自由エネルギー地形:
局所平衡状態のつながりの俯瞰図を自由エネルギー地形と呼び、局所平衡状態は自由エネルギー地形上の盆地に相当し、盆地の深さや盆地と盆地をつなぐ峠の高さは、たんぱく質が局所平衡状態にある時間の長さとその局所平衡状態から、異なる別の局所平衡状態にどれくらい早く遷移するかに依って決まる。

注5)スカラー量:
1つの数値だけで表される量。文中では1分子時系列データの数値そのものを指す。

注6)ガウス分布:
確率密度関数が物理量の平均値と分散だけで決定され、平均値において関数値が最大となるとともに、その平均値を挟んで左右対称に関数が単調減少する確率分布。正規分布ともいう。1分子時系列データの分布全体をガウス分布の重ね合わせでフィットして、局所平衡状態を"経験的に決める"ことが多い。