JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第426号(資料2) > 研究領域 「次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究」
(資料2)

平成19年度 戦略的創造研究推進事業(CRESTタイプ)
新規採択研究代表者および研究課題概要


12 戦略目標 「新原理・新機能・新構造デバイス実現のための材料開拓とナノプロセス開発」
研究領域 「次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究」
研究総括 渡辺 久恒 (株式会社半導体先端テクノロジーズ 代表取締役社長)

氏名 所属機関 役職 研究課題名 研究課題概要
秋永 広幸 独立行政法人 産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門 研究グループ長 機能性酸化物を用いた界面相転移スイッチングデバイスの開発 金属/絶縁性酸化膜の界面電子状態および強相関相転移の物性制御研究を通して、それを利用した不揮発性スイッチングデバイス技術の開発を行います。
尾辻 泰一 東北大学電気通信研究所 教授 グラフェン・オン・シリコン材料・デバイス技術の開発 グラフェン・オン・シリコン(GOS)材料・プロセス技術の開発を通し、相補的スイッチングデバイス(CGOS)及びプラズモン共鳴テラヘルツデバイス(PRGOS)技術の開発を行います。
佐々木 孝友 大阪大学大学院工学研究科フロンティア研究センター 特任教授、名誉教授 真空紫外レーザー光発生用非線形光学結晶の開発 極微小欠陥検査用光源の短波長化及び長寿命化のために、波長170nm台の真空紫外光発生用光学結晶の育成技術、および紫外レーザー損傷メカニズムの解明を通して長寿命化技術の開発を行います。
菅原 聡 東京工業大学大学院理工学研究科 准教授 ハーフメタル強磁性体を用いたスピン機能MOSFETの開発 フルホイスラーハーフメタル強磁性体をシリコンCMOS集積回路に融合させた新しいスピン機能MOSFETおよびそれを用いた新機能集積回路の開発を行います。
田川 精一 大阪大学産業科学研究所 教授 極微細加工用レジスト研究とプロセスシミュレーターの開発 イオン化放射線(EUV、電子線等)を用いる極微細加工用レジスト中に起きる反応機構を解明し、ナノ分子設計およびプロセス設計に活用し、プロセスシミュレーターの開発を行います。
二瓶 瑞久 富士通株式会社電子デバイス事業本部デバイス開発統括部 統括部長付 LSI用3次元カーボン・アクティブ配線の開発 配線抵抗の増大、大電流密度による信頼性劣化を抑えるためにグラフェンを用いた微細配線技術、およびグローバル配線に求められるリピータ機能等を持つアクティブ配線技術の開発を行います。
(五十音順に掲載)

<総評> 研究総括:渡辺 久恒(株式会社半導体先端テクノロジーズ 代表取締役社長)

 本プロジェクトの戦略目標は次世代エレクトロニクスにおける材料・デバイス・プロセスに関するテーマを幅広く想定しております。今回、この分野で関係のある経済産業省のナノエレクトロニクスプロジェクトと相互乗り入れを含めた連携スキームが成立し、密接な交流が図られることになりました。経済産業省のプロジェクトではLSIロードマップの延長として期待される将来技術を主体に取り上げる一方、本CRESTでは視点を変えた以下の二つの研究テーマ軸を設定いたしました。次世代エレクトロニクス材料の科学的深堀とそれに伴って発見されることを期待する材料・プロセスのコンセプト創出(Discovery Science)、および現在の産業的価値観ではリスクが大きすぎるが、それが持つ本質的特長を発展させることで、将来的に従来技術を置換する可能性がある破壊的技術(Disruptive Technology)を積極的に募集することにいたしました。さらにMore-than-MooreやBeyond-CMOSといわれる材料・デバイスとの融合についても、上記視点を有していれば対象範囲といたしました。
 今回の応募件数は48件でありました。上記方針に関し、事前の説明会(経済産業省と合同実施)とCRESTの募集ホームページ内でご説明したつもりですが、内容が分かりにくかったためか、非常にスペクトラムの広い提案をいただきました。大変興味深く科学的に高度なご提案が多いなかで選考審査には大きな困難を伴いましたが、最終的に6件のテーマを採択いたしました。強相関電子物性を界面で利用する新しいMOSFET、グラフェン材料のトランジスタ応用、ナノパターン検査用レーザー結晶、フルホイスラー合金をソース/ドレイン電極とする新しいスピン利用Si系新機能MOSFET、次世代リソグラフィにおけるナノレジスト化学、グラフェン材料の配線応用と、今回はシリコンLSI関連材料の科学的深耕性が強いもの、あるいはLSIとの融合による新機能開拓を狙ったご提案を優先的に選択させていただきました。来年度も基本方針は同じにするつもりですが、シリコンLSIの発展がいよいよ困難化、多様化するなか、新材料・新プロセスの革新的コンセプトの開拓や独創性溢れる破壊的技術のご提案を期待しております。