JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第426号(資料2) > 研究領域 「実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブル・オペレーティングシステム」
(資料2)

平成19年度 戦略的創造研究推進事業(CRESTタイプ)
新規採択研究代表者および研究課題概要


7 戦略目標 「高セキュリティ・高信頼性・高性能を実現する組込みシステム用の次世代基盤技術の創出」
研究領域 「実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブル・オペレーティングシステム」
研究総括:所 眞理雄(ソニー株式会社 業務執行役員SVP、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長)
副研究総括:村岡 洋一(早稲田大学理工学術院 教授)

<総評>
研究総括: 所 眞理雄(ソニー株式会社 業務執行役員SVP、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長)
副研究総括: 村岡 洋一(早稲田大学理工学術院 教授)

 コンピュータの実用化から半世紀以上が経ち、その応用範囲は基幹業務系やPCなどの「目に見える」コンピュータから、家電機器、自動車、携帯電話、センサー・アクチュエータなど、「直接目に触れない」形でありとあらゆる用途に広がってきています。そして、「目に見える」コンピュータだけでなく、「直接目に触れない」形のコンピュータが急速にネットワークに接続されるようになってきました。その結果、個々のシステムに対する高い信頼性、応答性、効率性に加えて、それらを接続した情報システム全体の信頼性、安全性、セキュリティ、可用性、効率性や、将来の拡張性や変更に対する動的対応性についても要求されるようになってきました。本研究領域では、「直接目に触れない」コンピュータに対するこのような要求を満足し、また、近い将来実用に供することを目的とし、これまでの知的資産を活用し、ディペンダブルな組込みシステム向けのOSの研究開発を行います。また、研究成果の実用性を担保するために、個別の研究成果を統合して実用システムとして実現が可能であることを実証し、オープンソースの形で将来の更なる研究開発の基盤を提供することを目指します。すなわち、統合されたソフトウェア自身を本研究領域の最終的な研究成果と考えます。
 本研究領域は昨年5件の研究提案を採択しました。それらの研究チームは採択決定直後の合宿を皮切りに、相互に緊密に連絡を取り、また、将来の具体的なニーズに関してはメーカーを含む研究推進委員らと検討を重ね、ディペンダビリティに関する概念、基本アーキテクチャ、要素技術の研究開発を進めております。
 本年度の募集に当たって、本研究領域の目的ならびにこれまでの進捗状況、今後の進め方についての基本的な考えを応募者に伝えるため、昨年度と同様に2度のコンセプト説明会を開催し、また、関連資料をホームページで公開しました。その結果5件の応募があり、6名の領域アドバイザーとともに書類選考、面接選考を行いました。選考に当たっては、研究提案が研究としての十分な新規性を備えること、研究実施者がそのアイデアをソフトウェアとして期間内に完成することが十分期待できること、個別の研究成果を昨年度に採択した研究チームの成果とも統合してひとつの実用性のあるディペンダブルな組込みシステムを実現するために積極的に貢献する意思があること、を主たる基準としました。その結果、本年度は残念ながら採択なしとの結果になりました。不採択とした研究提案の中には極めて独創性の高いものや研究としての価値が高いものがありましたが、実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブルOSを構築するとの観点から、不採択とせざるを得ませんでした。