JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第418号 ><用語解説>

<用語解説>

注1)重金属:
 密度の比較的大きい金属で、通常、比重が4~5以上の金属の総称です。生体にとって必須元素も多いのですが、一般に体内に蓄積する傾向があり、健康に有害なものが多く見られます。そのため、水質汚濁防止法では、水銀、カドミウム、鉛、六価クロムなどが、また大気汚染防止法では鉛、カドミウムが規制の対象になっています。

注2)微小電気化学セル:
 分析装置の小型軽量化と微少量の試料での分析を可能とするために採用された小型サイズのモジュールで、チップとも呼ばれます。プラスチックの基板上に微小流路を形成し、測定に必要な電極やカラムをマイクロ構造化して搭載しています。これらの集積化システムは、マイクロTAS(Total Analysis Systems)と呼ばれる技術の応用として、分析・検査の研究分野で注目されています。

注3)ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光、原子吸光:
 定量分析装置に使われている技術で、ICP発光は励起された原子が基底状態に戻るときの元素固有の波長の発光を利用するものです。原子吸光は基底状態にある原子が励起される際の光吸収を利用しています。これらの技術をもとにした分析装置は高精度を特徴とし、現在、微量元素から高濃度の分析まで広く採用されています。

注4)土壌汚染対策法:
 土壌汚染による健康被害の防止のため、土壌汚染の状況の把握や除去など健康被害の防止措置を義務付ける法律で、平成15年(2003年)2月に施行されました。
 同法で特定有害物質として現在26物質が定められ、重金属についてはカドミウム、六価クロム、水銀、セレン、鉛、砒素およびこれらの化合物を特定有害物質として定めています。

注5)ストリッピングボルタンメトリ:
 溶液中に含まれる分析の対象金属に対し、その金属固有の還元電圧より低い電圧を印加させることにより、溶液に浸漬した作用電極上に対象金属を析出させ、その後その金属固有の酸化電位より高い電位にまで電位を走査することによって対象金属を溶液中に再溶出させます。この再溶出過程における電流電圧曲線から、対象金属の濃度を決定する分析手法をストリッピングボルタンメトリといいます。

注6)カラム:
 カラムとは、ビーズと呼ばれる樹脂を充填した管のことで、試料を注入すると、特定の物質がビーズに吸着され、吸着されなかった物質を分離抽出することが可能となります。