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(参考3)

評価委員長による総評

先端計測技術評価委員会委員長 志水 隆一

 「先端計測分析技術・機器開発事業」は発足からすでに4年目に入り、平成16年度に開始して以来4回目の公募・選考を実施いたしました。 事業は幸いにも、第3期科学技術基本計画の戦略重点科学技術「ものづくり分野」における中心的事業として予算措置がなされ、集中的に投資されることとなっております。このため、今年度は、主に研究現場で使われる機器に関する開発領域(一般領域)に加え、研究現場のみならず応用現場(ものづくり現場)での将来の活用が想定される機器に関する開発領域(応用領域)についても、新たに公募を行いました。 その結果、大学、独立行政法人、国公立試験研究機関、民間企業等から合計130件という多数の応募がありました。このうち書類選考により特に優れていると判断された29件について面接を実施し、最終的に15件の課題を採択しました。採択された課題以外にも優れた提案が多かったにもかかわらず、予算の制限上十分な採択数を確保できなかったことはとても残念です。 採択に至らなかった提案の中には、基本原理の検証または機器開発へ向けた予備的な実験・検討が不足しているもの、最先端の機器開発を志向していないもの、開発推進上予想される問題点についての検討が不十分なもの、開発目標は示されているものの既存手法に対する優位性が示されていないものなどもありましたが、不足部分を補い再度挑戦していただくことを期待しております。 今回の採択課題の内訳は、構造解析関係が1件、質量分析関係が2件、分光計測関係が2件、生体計測分析関係が4件、環境微量物質分析関係が1件、物性計測分析関係が2件、X線センサー・機器関係が3件でした。 特徴としては昨年度以上に物質構造の可視化技術開発に関係した優れた提案が多くみられました。また、若手研究者による応募が例年以上に目立ち、斬新かつ挑戦的なアイディアが多く見られたことも心強いことです。特に「要素技術プログラム」では、採択課題のチームリーダーの半数が准教授・室長クラスの若手研究者によって占められ、又、所属機関も私大、地方大学や民間研究所、中小企業、更に地域も広く分散していることも特筆されます。 採択になった計画が我が国の科学技術の礎として花開くことを、またそれがイノベーションの創出にも大いに貢献することを衷心より期待します。