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(参考4)

評価委員長による総評

先端計測技術評価委員長 小林 俊一

 本事業も発足からすでに3年目に入り、平成16年度、平成17年度に引き続き3回目の募集・選考を実施いたしました。
 今年度は、昨年度と比較してさらに厳しい予算枠の中、「機器開発プログラム」においては、「ナノレベルの物質構造・状態3次元可視化(機能素子・材料、及び細胞内物質・生体高分子)」並びに「ハードウェアによる計測限界を突破するためのコンピュータ融合型計測分析システム」の二つの開発領域を設定し開発課題を公募しました。さらに、これらの開発領域に含まれない開発課題については「領域非特定型」として公募しました。また、「要素技術プログラム」では、昨年同様、開発領域は設けず、新規性のある独創的な計測分析技術・手法に関する開発課題を広く公募しました。
 今年度においては、大学、独立行政法人、国公立試験研究機関、民間企業等から合計175件という多数の応募がありました。このうち書類選考により特に優れていると判断された24件について面接を実施し、最終的に12件の課題を採択しました。その結果、昨年とほぼ同じ15倍近い倍率になりました。優れた提案が多かったにもかかわらず、予算の制限上十分な採択数を確保できなかったことはとても残念です。
 採択課題の内訳は、構造分析関係が4件、質量分析関係が2件、光検出器関係が1件、生体計測分析関係が3件、環境微量物質分析関係が1件、電気化学分析が1件でした。採用に至らなかった提案の中には、昨年と同様に基本原理の検証または機器開発へ向けた予備的な実験・検討が不足しているもの、最先端の機器開発を志向していないもの、開発推進上予想される問題点についての検討が不十分なもの、開発目標は示されているものの既存手法に対する優位性が示されていないものなどもありましたが、不足部分を補い再度挑戦していただくことを期待しております。今回の採択課題の特徴としては、物質構造の可視化技術開発に関係した優れた提案が多くみられました。いずれの採択課題も日本の先端計測分析技術・機器開発の進展に大きな飛躍をもたらしうるものと期待されます。

 採択になった計画が我が国の科学技術の礎として花開くことを、またそれが世界の科学技術の発展にも大いに貢献することを衷心より期待します。