JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第320号 ><用語説明>

<用語解説>

注1)ヒト胚:
ひとつの細胞(生殖細胞を除く)又は細胞群であって、そのまま人の胎内において発生の過程を経ることにより1人の個体に成長する可能性のあるもののうち、胎盤の形成を開始する前のものをいいます。

注2)胚性幹(ES)細胞:
受精後1週間前後の胚から樹立される幹細胞で、成体に存在するすべての細胞へと分化できる多能性を維持したまま、ほぼ無限に増殖が可能な細胞です。ES細胞は1981年にマウスにおいて樹立され、1998年にはヒトでも樹立されました。

注3)万能性(分化多能性):
ES細胞がもつ、成体を構成する様々な細胞へと分化できる能力は専門用語では分化多能性と呼ばれ、一般的に万能性とも呼ばれています。

注4)核移植:
卵子の核を除去し、替わりに体細胞の核を移植する技術で、顕微鏡下に行われます。1997年に英国のWilmut(ウィルマット)らは羊の体細胞核を卵子に核移植することにより、哺乳類では初の体細胞クローンの作成に成功しました。

注5)分化細胞:
万能性を失い、特定の機能だけを果たすようになった細胞をいいます。

注6)初期化:
体細胞核を胚の状態に若返りさせ、分化多能性を回復させる現象は初期化や再プログラム化と呼ばれます。

注7)線維芽細胞:
動物の体には内部構造を保つための支持組織である結合組織が広く分布しています。線維芽細胞はこの結合組織を構成する細胞で、繊維状に配列しているのでこの名が付けられています。