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<用語解説>

注1 CoCr2O4
コバルトとクロムの複合酸化物の一種。スピネル型構造と呼ばれる結晶構造をしており、クロム原子を中心として、酸素原子が八面体の頂点に配置している。また同時に、コバルト原子から見ると、酸素原子が四面体の頂点に配置している(図2)。

注2 強磁性体
各原子の磁化方向が自発的に揃っている物質。さまざまな応用がなされているが、一旦外部から磁場をかけると、その磁場を0にした後も影響が保持されるため、ハードディスク、音楽用MD、カセットテープなど様々な記録媒体に用いられている。
いわゆる磁石は、外部からの磁場の影響を受けにくい(保持力が強い)強磁性体を材料としている。

注3 強誘電体
各原子の電気的分極が自発的に揃っている物質。外部からのさまざまな刺激に対して、電気的な応答をすることから、各種センサー、原子間力顕微鏡のカンチレバー、超音波素子、波長変換素子など、さまざまな用途に用いられている。
 CoCr2O4の特徴はこれら強磁性体と強誘電体の性質を併せ持つことであり、このような物質は非常にまれである。

注4 FeRAM(強誘電体メモリー)
強誘電体を記録素子として用いた不揮発性メモリーの一種。