○個人型研究(さきがけ)
氏名 | 機関名 | 所属部署名 | 役職名 | 研究課題名 |
串山 久美子 | 東京農工大学 | 大学院工学教育部 | 特任助教授 | 感触表現の制作支援を目的とした視触覚感覚ディスプレイ技術の開発 |
後安 美紀 | 株式会社 国際電気通信基礎技術研究所 |
ネットワーク情報学研究所 | 研究員 | 「意図的なランダムな行為」の創出方法の解明 |
橋本 典久 | 筑波大学 | 人間総合等研究 教育支援室 |
技術職員 | 全天周と極小領域映像を扱うための入出力機器の研究開発 |
武藤 努 | 財団法人 国際メディア研究財団 |
- | 研究員 | 人間の知覚に基づいた色彩の動的制御システムの構築 |
渡邊 淳司 | 東京大学 | 大学院情報理工学系 研究科 |
日本学術振興会 特別研究員 |
触・力覚の知覚特性を利用した新たな芸術表現の基盤研究 |
総評:研究総括 原島 博(東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授)
「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」研究領域は、今年度が2回目の募集となる研究領域です。
映画、アニメーション、CGアート、ゲームソフトなど、コンピュータ等の電子機器を駆使したメディア芸術は、まさに芸術と科学技術の融合領域であると言えます。これはわが国が得意としている文化の魅力を世界に向けて発信するためにも、またわが国のこの分野の産業競争力を高めるためにも重要な領域になりつつあり、このような芸術にも関わる研究領域が設定されていることは、わが国の科学技術の研究開発において画期的なことであると考えております。
デジタルメディア作品の質の大幅な向上を図るためには、芸術的な感性だけでなく、作品の創造を支える科学技術の研究開発が必須です。この観点から本研究領域では、メディア芸術作品の制作を支える先進的・革新的な表現手法、これを実現するための新しい基盤技術を創出する研究を対象としています。
本研究領域の公募に対し、個人型研究(さきがけ)では49件の応募がありました。その内訳は、国公立・私立大学が66%、独立行政法人・公益法人が22%、民間企業・その他が12%でした。これらの応募に対して、基盤技術、メディアアート、アニメ・映画、ゲーム、放送・ネットワーク等の分野の第一線で活躍しておられる8名の領域アドバイザーと共に厳正な審査をおこないました。
それぞれの提案についてまず書類審査を行い、特に内容の優れた12件を面接対象者として選考しました。面接選考に際しては、提案者個人の独創性、研究の新規性、研究規模の適切性などの観点から、実際の制作現場においてデジタルメディア作品制作の高度化に資する可能性のある基盤技術であることなどが重視されました。
最終的に、本年度は5件の提案が採択され、応募に対して約10倍の競争率になりました。選考結果を総合的に見ると、全天周から微小映像までを扱う映像表示、リアルさを目指したCG表現、アーティストが使える色彩処理ツール、触・力覚を利用した新しい表現技術、視触覚感覚のディスプレーという幅広い分野を研究対象としており、本領域の趣旨に合致した課題となりました。またさらに、技術の研究のみならずその開発成果を自ら作品制作することのできる研究者が多く参画してくれることになりました。そして、その作品がこれからの技術基盤のさきがけとなり、また技術が多くの人に使われることによりさらに拡がっていくことを期待します。