戦略的創造研究推進事業(公募型研究)における平成17年度
新規採択研究代表者・研究者及び研究課題の決定について


○チーム型研究(CREST)

戦略目標「メディア芸術の創造の高度化を支える先進的科学技術の創出」
研究領域:「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」

氏名 機関名 所属部署名 役職名 研究課題名
岩田 洋夫 筑波大学 大学院システム情報工学研究科 教授 デバイスアートにおける表現系科学技術の創成
片寄 晴弘 関西学院大学 理工学部 教授 時系列メディアのデザイン転写技術の開発
田村 秀行 立命館大学 情報理工学部 教授 映画制作を支援する複合現実型可視化技術
松原 仁 公立はこだて未来大学 システム情報科学部 教授 オンラインゲームの制作支援と評価

五十音順に掲載

総評:研究総括 原島 博(東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授)

 「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」研究領域は、今年度が2回目の募集となる研究領域です。
 デジタルメディア作品の質の大幅な向上を図るためには、芸術的な感性だけでなく、作品の創造を支える科学技術の研究開発が必須です。この観点から本研究領域では、メディア芸術作品の制作を支える先進的・革新的な表現手法、これを実現するための新しい基盤技術を創出する研究を対象としています。
 本研究領域の公募に対し、チーム型研究(CREST)では44件の応募がありました。その内訳は、国立・私立大学が86%、独立行政法人・公益法人が2%、民間企業が12%でした。これらの応募に対して、基盤技術、メディアアート、アニメ・映画、ゲーム、放送・ネットワーク等の分野の第一線で活躍しておられる8名の領域アドバイザーと共に厳正な審査をおこないました。
 審査は、まずそれぞれの提案について書類審査をおこない、そのうち特に内容の優れた12件を対象として面接選考を実施しました。その結果、本年度は4件の提案が採択され、応募に対して11倍もの高い競争率になりました。
 なお、今回の選考に際しては、研究の狙い、新規性、独創性、研究計画、研究実施体制などの項目に加えて、コンテンツ制作者やメディアアーティストとの協働が期待できること、実際の制作現場においてデジタルメディア作品制作の高度化に資する基盤技術であることなどが昨年同様重視されました。
 その観点から、基盤技術の研究者が中心となった提案で、従来の大学の研究室での研究のそのままの延長であるかのような印象を与えたものは、低い評価となりました。また、メディア芸術やコンテンツの関係者が中心となった提案で、基盤技術の研究開発課題が明確でないものも、高い評価が得られませんでした。一方で、日本のデジタルメディア作品の制作体制を効率的なものに一新させ、さらに近未来の多様な映像表現創成に不可欠となる基盤技術を構築するという提案などが高い評価を得ました。
 今年度は2年目の募集ということもあり、基盤技術の研究者とメディア芸術、コンテンツ制作者の間で新たに共同研究体制を組んだ提案など、充分な準備・検討がなされたレベルの高い提案が多くありました。そうした中での難しい選考でしたが、映画・ゲーム・音楽・デバイスアートなどの多岐にわたる分野のテーマを、地域的なバランスも良く採択することができました。