戦略的創造研究推進事業(公募型研究)における平成17年度
新規採択研究代表者・研究者及び研究課題の決定について


○チーム型研究(CREST)

戦略目標「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」
研究領域:「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御基盤技術」

氏名 機関名 所属部署名 役職名 研究課題名
小田 吉哉 エーザイ株式会社 シーズ研究所 主幹研究員 定量的メタボロミクスとプロテオミクスの融合
田口 良 東京大学 大学院医学系研究科 客員教授 脂質メタボロームのための基盤技術の構築とその適用
平尾 敦 金沢大学 がん研究所 教授 代謝解析による幹細胞制御機構の解明
柳澤 修一 東京大学 大学院農学生命科学研究科 助教授 栄養シグナルによる植物代謝制御の分子基盤
柳田 充弘 京都大学 大学院生命科学研究科 特任教授 染色体分配メタボリズムを支える分子ネットワークの解析
吉田 稔 独立行政法人 理化学研究所 中央研究所 主任研究員 タンパク質修飾の動態とネットワークの網羅的解析

五十音順に掲載

総評:研究総括 鈴木 紘一(東レ株式会社 専任理事、先端融合研究所 所長)

 代謝の研究は生化学の基礎として古くから研究されてきましたが、領域を限定した代謝研究が殆どで、代謝産物を網羅的に解析する研究はありませんでした。代謝産物の種類や濃度が非常に多岐にわたるので、これらを網羅的に解析する技術基盤の開発が遅れていたからです。この戦略的創造研究推進事業では、トランスクリプトーム、プロテオーム解析の次の課題として注目されている代謝産物の包括的な分析を目指すメタボローム解析の技術的基盤を確立し、基礎研究はもちろん、医薬を始め多方面での応用に繋がる革新的な成果の創出を目指しています。ゲノムの成果を活用する研究開発が一段と激化する中で、メタボローム研究は欧米でも研究が端緒に付いたところで、本研究の推進は、我が国の優位性を確保するためにも極めて緊急かつ重要な課題と認識しています。
 本研究テーマには106件の応募がありました。代謝全般の問題を正面から取り組んだ課題はそれほど多くなく、トランスクリプトーム、プロテオーム、転写調節、構造生物学に近い応募課題がかなり見られました。応募課題は多様な分野のものが多く、代謝領域の広さと同時に、異なる分野の課題を同じ土俵の上で比較して審査することの難しさを痛感しました。広い代謝領域を考えて依頼した13名の領域アドバイザーの方々の協力を得て、106件の提案の中から書面審査で13課題を選んで面接選考を行い、最終的に6課題を採択しました。応募課題のレベルは非常に高く、選考には非常に苦労しましたが、審査に当たっては、メタボローム研究として本質的な問題を設定し、正面から取り組んでいるか、独創性・発展性、期待されるインパクトの大きさ等の点を中心に議論し、厳正かつ公平に判断致しました。また、審査の際には応募課題の利害関係を予め調査し、利害関係者が審査に関与しないよう配慮しました。