○チーム型研究(CREST)
氏名 | 機関名 | 所属部署名 | 役職名 | 研究課題名 |
尾形 修司 | 名古屋工業大学 | 大学院工学研究科 | 教授 | ナノ・メゾ・マイクロの複雑固液界面の大規模数値解析 |
押山 淳 | 筑波大学 | 大学院数理物質 科学研究科 | 教授 | 計算量子科学によるナノアーキテクチャ構築 |
佐藤 正樹 | 独立行政法人 海洋研究開発機構 |
地球環境フロンティア研究センター | サブリーダー | 全球雲解像大気モデルの熱帯気象予測への実利用化に関する研究 |
高田 俊和 | 日本電気株式会社 | 基礎・環境研究所 | 主席研究員 | QM(MRSCI+DFT)/MM法による生体電子伝達メカニズムの理論的研究 |
高橋 桂子 | 独立行政法人 海洋研究開発機構 |
地球シミュレータセンター | グループリーダー | 災害予測シミュレーションの高度化 |
天能 精一郎 | 名古屋大学 | 大学院情報科学研究科 | 助教授 | 生体系の高精度計算に適した階層的量子化学計算システムの構築 |
平尾 公彦 | 東京大学 | 大学院工学系研究科 | 教授 | ナノバイオ系のシミュレーションとダイナミクス |
松浦 充宏 | 東京大学 | 大学院理学系研究科 | 教授 | 観測・計算を融合した階層連結地震・津波災害予測システム |
総評:研究総括 矢川 元基(東洋大学工学部 教授/日本原子力研究所計算科学技術推進センター センター長)
本研究領域は、近い将来のペタフロップス超級スーパーコンピュータを視野に入れ、数テラフロップスから地球シミュレータレベルの最先端の超高速・大容量計算機環境と精緻なモデル化・統合化によって、複数の現象が相互に影響しあうようなマルチスケール・マルチフィジックス現象の高精度且つ高分解能の解を求める研究を公募の対象としました。
具体的には、地球環境変動とその影響、異常気象およびそれに起因する災害予測、人工物の安全性・健全性の評価、複雑な工業製品の設計・試作などのシミュレーション、ナノレベルの材料挙動・生体内たんぱく質構造・生体内薬物動態の解析など、支配因子が未知あるいは不確定性を含む現象やスケールが極度に異なる現象等のモデル化の研究、そのようなモデルの統合数値解析手法の研究、モデルや入力データの妥当性・結果の信頼性の評価方法の研究などが含まれます。
今年度の応募は73件あり、11名の領域アドバイザーに書類審査をお願いし、最終的には面接審査を行ってアドバイザーの採点をもとに合議して採択テーマを決定しました。本領域は、これまでの多くの研究領域と比して提案される分野が極めて広範にわたる分野横断型の領域であるために異なる分野の研究に対して厳密に序列をつけることに困難を極めました。結果的には、今年度の採択数を多めにすることとし、8件の提案を採択しました。
採択テーマの専門分野としては、量子化学、表面・界面科学、ナノ、バイオインフォマティクス、地球物理学など広範囲にわたり、分野横断的なものも多く、いずれも十分実績のある研究代表者に率いられた極めて質の高い提案でした。
審査に当たっては、研究の成果がそれぞれの専門領域において世界をリードするものでなければならないことは当然ですが、この種の研究タイプでは、研究代表者の役割や責任が大きいことを考え、当該分野における研究代表者の実績や力量をできるだけ把握して判断材料に加えることにしました。なお、採用数が限られていることから、採択されてしかるべき提案でありながら相対的評価のために落とさざるを得ないというものも少なくありませんでした。そのような研究は次年度以降に採択できればと思います。また、本研究領域の趣旨からかけ離れた提案もありました。すでに開発が済んでいる要素技術を単に複合化する提案、提案は先進的であっても本当に実現可能とは思えないものもありました。
来年以降の募集に当たっても、内容の充実に加えて、具体的に目に見える成果、産業や実社会への応用性とそのインパクトの大きさ、成果として出来上がったソフトウェアが研究終了後も長期間、自立成長を継続できる枠組みを勘案した提案、異なる専門家同士、海外の研究者との有機的共同提案、実験、理論、情報数理・計算科学の専門家などとのタイトな協力を促すような分野融合的・領域融合的な研究課題を募りたいと思います。また、特に、今回採択されていない分野からも多くの提案を期待します。