機構報第194号

開発を終了した課題の評価

課題名 「歯科用2波長レーザ治療装置」
研究者 宮城光信、松浦祐司、加藤祐次
所有者 仙台電波工業高等専門学校長 東北大学名誉教授 宮城光信
東北大学大学院工学研究科 助教授 松浦祐司
北海道大学大学院情報科学研究科 助手 加藤祐次
株式会社モリタ製作所
委託企業 株式会社モリタ製作所
開発費 221,416,632円
開発期間 平成13年3月~平成17年3月
評価  本新技術は、2μm帯と3μm帯の2波長を同時に効率よく伝送できる誘電体内装の可撓性に富む中空ファイバを用い、歯や骨などの硬組織の切削や、歯肉等の軟組織の切開と止血、殺菌等を、レーザ波長を切り換えることにより一台の装置で行える歯科用2波長レーザ治療装置に関するものである。
 本開発では、波長2μm帯と3μm帯のレーザを同時に伝送できる中空ファイバの製作技術の確立、2波長レーザの発振器、導波路、照射装置の最適接続条件の確立、症例に合わせた照射チップの開発と照射条件の確立を行った。これらの技術を基に、スタンドアローンの2波長レーザ治療装置を製作し、2μm帯と3μm帯の2波長レーザ光を単独、混合のいずれの場合でも高い効率でハンドピースに伝送することができた。また、in vitro照射実験と動物実験の結果、硬組織と軟組織のいずれについても、本装置の安全性と有効性が確認できた。
 本新技術により、複数波長のレーザ光を同時に伝送でき、且つ、操作性にも富むフレキシブル中空ファイバを用いることにより、一台の治療装置で軟組織の切開と止血、硬組織の切削を行うことが可能となる。このため、齲蝕治療や歯周病治療、高い技術を要する根管治療などで効果を発揮することが期待される。また、本新技術の中空ファイバにより、可視光から赤外光におよぶ広い範囲の波長において、所望の複数波長を高効率で伝送することが可能となる。
評価者
科学技術振興審議会 技術移転部会 委託開発評価委員会
委員長   高橋 清
委員 井浦 幸雄、石谷 炯 、井街 宏、木村 茂行、桐野 豊、小林 健、中川 威雄、西川 寿子、西澤 民夫、 増田 善昭、八嶋 建明、 吉村 進
評価日 平成17年6月28日