用語説明

 DNAはデオキシリボ核酸の略称。4つの構成成分(核酸塩基とよぶ)からなる二重鎖の高分子。遺伝情報を伝達する物質。人のDNAは約30億の塩基の対からなるが、そのうち、たんぱく質の設計図が書かれている部分を遺伝子と呼んでいる。

 DNAでは通常、グアニンはシトシンと、アデニンはチミンとペア(塩基対)を組み安定した対となる。これをDNAの構造を明らかにしたワトソンとクリックにちなんで、ワトソン クリック塩基対と言う。これ以外の8種類の組み合わせ、例えば、グアニンとグアニンやシトシンとチミンのペアなどは不安定なペアでありミスマッチ塩基対と言う。

 患者の遺伝子を調べて、確実に効果のある薬や副作用の無い薬をあらかじめ探した上で、その患者に合った治療法を選んで行う診断や治療のこと。「テーラーメード医療」とも呼ばれる。

 遺伝子配列の中のわずか1塩基の違い。髪の毛の色、肌の色などその人を特徴づける違いとして現れる。一塩基多型により、同じ薬が効く人と副作用しか無い人に分かれる場合が有る。オーダーメイド医療にはあらかじめ一塩基多型を調べておくことが必要。

 ・・・・・ CAG CAG CAG CAG ・・・・・のように、遺伝子の構成物質(核酸と言う)が三つで一単位(ここではCAG)になって繰り返す配列のこと。CAGの他に、CGGやCTGなどがあり、それぞれが異常に伸長すると脆弱性X症候群や筋強直性ジストロフィーの発症に関係している。

 DNAの内側にあった塩基が、外側に押し出されること。遺伝子の傷を直すタンパク質が、傷を見つける際の現象として知られている。人工の化合物が塩基をフリッピングアウトさせた構造を明確に観察したのは今回が初めてである。

 DNAの傷害を検知し、傷害箇所をフリッピングアウトさせて取り除く酵素(修復酵素)による傷害DNAを認識する機構の一つ。遺伝子の中でシトシンが何らかの原因で壊れるとウラシルになるが、このウラシルがそのままDNAに残っているとDNAの変異が次の世代に残ってしまう。これを防ぐために、生体にはDNAからウラシルを取り除く酵素(ウラシルDNAグリゴシラーゼ)があり、ウラシルをフリッピングアウトさせて、DNAから取り除いている。