別紙1

未来社会創造事業(探索加速型)平成31年度新規本格研究課題 概要

「世界一の安全・安心社会の実現」領域

研究開発課題名:「香りの機能拡張によるヒューメインな社会の実現」
研究開発代表者:東原 和成(東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授)

<課題概要>

香りは人の心理・生理・情動・行動に作用し、食事、入浴、就寝など、私たちの生活のさまざまな場面で生活の質を左右します。また、香りの効果の特徴として、言葉の発達していない幼少者や、支援の必要な高齢者へ自然に快適さを届けることや、安心感の醸成、精神の安寧、食文化の継承、わくわく感など、心の豊かさを高めることにも貢献できる可能性を秘めています。

しかしながら、視聴覚を介したサービスが高度に発達していることと比べると、香りの活用はまだまだ未開拓と言わざるを得ません。人が光を感知する受容体が4種類であるのに対し、香りを感じる嗅覚受容体は396種類と非常に多く、複雑なためです。加えて、数十万種とも言われる多数の香り物質による嗅覚受容体の反応も、遺伝型多型の影響により大きな個人差があります。また、香りは経験や文化、体調などの影響を受けて感じ方や嗜好も変わります。このような嗅覚の複雑さのため、言葉に表せない香りの概念を客観評価できないことが香りの産業利用のボトルネックとなっています。

未来社会創造事業では、これまでの研究成果をもとに、受容体データ、脳科学・人工知能などの先端技術を駆使して得られる脳データ、大規模調査による心理データを収集・統合することで、人の香りの感じ方の脳モデルを世界に先駆けて開発します。食や生活空間への応用を目的とした、人の香りの感じ方を予測し自在に香りをデザインする技術の確立をPOC(Proof Of Concept:概念実証)として設定し、研究開発を実施します。

明確な出口として「食」や「生活空間」への応用を目指しつつ、新たな香りの利用技術が社会や産業に受け入れられるようサービス展開を強く意識した研究開発を推進していきます。

図1

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