<用語解説>

(*1) IcsB
赤痢菌の分泌する病原因子の一つ。その機能は永らく不明であったが赤痢菌の病原性において重要な役割を果たしていることを本研究グループが明らかにし論文に発表した。
(*2) オートファジー(自食作用)
不用となった自己の細胞質の小器官やタンパク質を分解・再利用し、細胞の新陳代謝を促すとともに、飢餓時には自己成分を壊して生存に最低限必要な栄養源とするための細胞機能。オートファゴソームと呼ばれる袋状の膜構造が細胞質を部分的に取り囲み、それに消化酵素を持つリソソームが融合し内容物の分解が起こる
(*3) 細胞内寄生菌
 宿主細胞の免疫機構から逃れるために細胞内に侵入し、細胞質内あるいは食胞を増殖・定着の足場とする細菌群。
(*4) VirG
 赤痢菌の菌体の一端に発現するタンパク質。菌の上皮細胞内運動および細胞間感染に必須な病原因子であることが本研究グループにより発見された。また細胞内においてN-WASPと特異的に結合しアクチン重合を誘導することも本研究グループにより明らかにされた。
(*5) Atg5
 オートファゴソームの「シード(種)」となる隔離膜上に分布しているタンパク質。隔離膜の伸張に必要であることが推測されているが、そのメカニズムは未だ不明である。Atg5遺伝子を欠いた細胞ではオートファジーが起こらない。