JST(理事長 濵口 道成)が管理法人をつとめる、内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)課題「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」および「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」における、平成30年度研究責任者を確定しました。
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が、社会的に不可欠でかつ日本の経済・産業競争力にとって重要な課題を特定し、課題ごとにPD(プログラムディレクター)を選定し、基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据え、さらに規制・制度改革や特区制度のほか、知財の活用も視野に推進していく府省・分野の枠を超えた横断型のプログラムです。
今回の募集では、下記2件のSIP課題について産官学から計31件(「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」:12件、「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」:19件)の応募がありました。募集締め切り後、選考委員会において書類選考と面接選考を実施しました。その結果を受けPD(「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」:岸 輝雄 東京大学 名誉教授、「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」:柏木 孝夫 東京工業大学 名誉教授)および内閣府が了承し、研究責任者21名(「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」:9名、「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」:12名)を確定しました(別紙1-1、1-2)。
なお、事業の詳細や選考の方法などは下記ホームページを参照してください。
ホームページURL:https://www.jst.go.jp/sip/index.html
- 1.「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」
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日本が高い競争力を有してきた材料分野において、AIを駆使した材料開発手法の刷新に向けて諸外国で集中投資が行われ、ものづくりが大変革を迎えている。こうした分野において日本が国際競争力を確保するためにも、日本が開発してきたマテリアルズインテグレーション(MI)の素地を生かし、欲しい性能から材料・プロセスをデザインする「逆問題」に対応した次世代型MIシステムを世界に先駆けて開発するとともに、MIを活用して、競争力ある革新的な高信頼性材料の開発や設計・製造・評価技術の確立に取り組み、発電プラント用材料や生体用材料、航空用材料などを出口に先端的な構造材料・プロセスの事業化を目指す。さらに日本が蓄積してきた材料データベースの活用や新たなプロセス・評価技術に対応したデータベースの充実を図るなど、サイバーとフィジカルが融合した新たな材料開発による「マテリアル革命」を加速する。
- 2.「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」
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2020年以降の温室効果ガス削減などのための新たな国際枠組みである「パリ協定」において、世界共通の長期目標として「2℃目標」が設定された。「パリ協定」を実現するためには、現状の削減努力の延長だけでは間に合わず、世界全体での排出量の抜本的な削減を実現するイノベーションを創出することが不可欠である。
エネルギー・環境分野でイノベーションを創出するためには、温室効果ガスの大きな排出削減に寄与する有望技術を強力に開発・導入していくことが重要であることに加え、それら個別技術の確立・実用化と併せて、個々の技術(機器・設備など)をネットワーク化し、エネルギーシステム全体として最適化を図ることが求められる。
この目標を達成するため、将来必須であり、日本が主導的地位を担うべき基盤技術としての、(B)ワイヤレス電力伝送(WPT)システム、(C)革新的炭素資源高度利用技術、(D)ユニバーサルスマートパワーモジュール(USPM)、さらにこれら基盤技術を含めたエネルギー使用最適化に資するエネルギーシステムグランドデザインの検討を研究開発項目※)として掲げ、脱炭素社会実現のための“System of Systems”を着実に実践し、社会実装への体制を構築する。