JST(理事長 沖村憲樹)は、委託開発事業の開発課題「高酸素運搬機能を有するパーフルオロカーボン乳剤製造システム」の開発結果を、このほど成功と認定しました。
本課題は、神戸学院大学助教授 福島昭二氏と日本油脂株式会社の研究成果を基に、平成12年3月から平成15年9月にかけて日本ビーイーイー株式会社(代表取締役社長 中野 満、本社 大阪市大正区泉尾6-2-29、資本金10百万円)に委託して開発(開発費約182百万円)を進めていたものです。
本課題は、神戸学院大学助教授 福島昭二氏と日本油脂株式会社の研究成果を基に、平成12年3月から平成15年9月にかけて日本ビーイーイー株式会社(代表取締役社長 中野 満、本社 大阪市大正区泉尾6-2-29、資本金10百万円)に委託して開発(開発費約182百万円)を進めていたものです。
(開発の背景)
赤血球の酸素運搬機能を代替えする人工酸素運搬体の1つであるパーフルオロカーボン(PFC)乳剤の新規の製造システムを開発しました。
これまでに、化学的に不活性で大量の酸素を溶解できるPFCを乳化処理した乳剤の酸素運搬体としての利用が試みられてきました。従来の製法では、乳化処理における粒子径の制御に限界があり、製品の乳剤については細網内皮系に取り込まれることによる副作用や貯蔵時の不安定性の問題があり解決が求められていました。
(開発の内容)
本新技術では、細網内皮系への取り込み回避のためPEG化リン脂質を添加し、さらに安定性を強化した最適な処方を開発しました。この処方の溶液に、高圧ジェット流乳化装置を2段階に用いて強力な剪断力を加えることで粒子表面が親水性物質で修飾された超微粒子を製造できる乳剤製造システムを製作しました。
本新技術により製造された乳剤について、ラットによる体内動態解析や安全性に関する試験において、血中滞留性が向上し、酸素運搬能が高く、生体適合性に優れ、安全性においても有望な結果が示されました。
(開発の効果)
本新技術による製造システムは、GMPに準拠した大量生産に移行可能であり、また、開発された製剤は、赤血球代替のみならず、虚血性疾患での酸素供給など、種々の応用が可能であり、今後の実用化が期待できます。
なお、本件についての問い合わせは以下の通りです。 独立行政法人 科学技術振興機構 開発部開発推進課 菊地博道、永田健一(電話:03-5214-8995)
日本ビーイーイー株式会社 代表取締役社長 中野 満(電話:06-6555-0099)
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