JST(理事長 濵口 道成)は、戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)注1)「日本-英国共同研究」において、英国自然環境研究会議(NERC)注2)と共同で「Marine Sensors Proof of Concept:海洋観測のための革新的な生物・生物地球化学センサー」分野に関する共同研究課題の募集および審査を行い、平成29年度新規課題として以下の3件を決定しました(別紙1)。
(1)「粒子中放射性核種の現場計測センサーの開発」
日本:下島 公紀 教授(東京海洋大学 学術研究院 海洋資源エネルギー学部門)
英国:マシュー・モウレン 教授(国立海洋学センター 海洋技術工学部門)
本研究は、海洋の沈降粒子による物質除去過程解明のため、粒子中の放射性核種濃度の現場計測センサー開発を目指すものです。
(2)「ホログラフィックカメラとラマン分光分析を統合利用した、深海粒子の長期化学計測カメラ「RamaCam」の開発」
日本:ドゥーグル・J・リンズィー 主任技術研究員(海洋研究開発機構 海底資源研究開発センター)
英国:ブレア・ソーントン 准教授(サウサンプトン大学 環境工学部)
本研究は、深海現場で大型粒子の撮影ができるホログラフィックカメラと、分子の化学分析ができるラマン分光法を複合した、今までにない超小型・低消費電力の長期観測用粒子化学計測センサーを開発し、深海中浮遊成分分布計測を目指すものです。
(3)「マイクロ流体デバイスによる新たな遺伝子抽出技術を用いたシーケンス用サンプル調整ボトルネックの解決」
日本:福場 辰洋 技術研究員(海洋研究開発機構 海洋工学センター)
英国:ジュリー・ロビダート シニアサイエンティスト(国立海洋センター 海洋技術工学部門)
本研究は、海洋微生物の遺伝子解析においてボトルネックを解消するため、マイクロ流体デバイス技術を応用して遺伝子抽出を自動化する装置を開発し、完全自動の遺伝子解析装置システムの実現を目指すものです。
今回の共同研究課題の募集では3件の応募があり、これら応募課題について日本人を含む専門家が評価を行い、日英評価委員が審査を行いました(別紙2)。その結果をもとにJSTとNERCが協議を行い、研究内容の優位性や共同研究の有効性などの観点から、両国がともに支援すべきと合意した3件を採択課題として決定しました。
研究実施期間は支援開始から約3年間です。JSTによる資金の額は、研究課題あたり総額1,950万円(上限)を予定しています。