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別紙1

ACCEL 平成29年度新規課題 概要

【研究開発課題1】

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)では、大面積でフレキシブルな電子人工皮膚(E-skin)を高性能化し、この成果をベースとして、大面積・多点・マルチモーダル注1)・伸縮性という特徴を同時に兼ね備えたセンサーを実現しました。

戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)では、厚さ1マイクロメートル(μm)という極薄の高分子基材上に、有機トランジスタを試作し、伸縮性エレクトロニクスの要素技術を確立しました。また、この極薄の伸縮性センサーを皮膚に直接接触させて、センシングを行いました(皮膚接触型E-skin)。さらに、1μm厚の高分子基材上に、有機光検出器と有機LEDを実装することにより、血中酸素飽和度の計測に成功しました(光学式E-skin)。

ACCELでは、CREST、ERATOを通じて得られたこれらの技術を統合・発展させ、1枚のシートを皮膚に接触させるだけで誰もが簡単にさまざまな生体情報を計測できる伸縮性イメージセンサー(スーパーバイオイメージャー)を開発し、安心・安全で快適な社会の実現を目指します。

PMとして、長年にわたり新規事業開発やプロジェクト運営を歴任し、大学などと共同でナノマテリアル分野の事業化実績を持つ松葉 頼重 氏を配置し、POCを目指した出口指向の戦略的な研究マネジメントを推進します。

<目指すビジョンの図>

地域包括ケアシステムにおける長期間にわたる生態情報観測
注1) マルチモーダル・センサー
複数の生体情報が同時に計測可能なセンサーのこと。

<出身事業>

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域 「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」
研究課題 「大面積ナノシステムのインターフェース応用」
研究代表者 染谷 隆夫(東京大学 教授)
戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)
研究プロジェクト 「染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト」
研究総括 染谷 隆夫(東京大学 教授)

【研究開発課題2】

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)では、平成23年当時最高のテラヘルツ帯注1)の電場強度を達成し、テラヘルツ非線形光学の分野を拓きました。また、波長限界の1/30の空間分解能とビデオレート注2)の高速計測を同時に実現し、高分解能かつリアルタイムでの生細胞観察に成功しました。その後、CRESTで培った光レーザー励起のテラヘルツ技術を半導体テラヘルツ技術へと展開し、半導体光源・検出器を用いたイメージング装置を開発するなどの活動を通じ、ACCELでのPOC達成に向けての開発指針を得ています。

ACCELでは、半導体光源のアレイ化、モジュール化による出力改善や、検出器への位相検出技術付加による感度改善、高速イメージングのためのアレイ化、モジュール化を行い、光源・検出器・低損失最適光学系・制御系・解析ソフトウエアからなる透視イメージング基本システムを構築することにより、既存技術に比べて高分解能、高速、安全なボディスキャナー、非破壊検査装置などの実現をはかります。これによって、交通機関などの公共の場でのセキュリティの強化、工場などで生産される製品の安全性の向上など、安全・安心社会の実現を目指します。

PMとして、長年にわたりテラヘルツ研究に従事し、テラヘルツシステムの装置開発・実用化実績を持つ深澤 亮一 氏を配置し、POCを目指した出口指向の戦略的な研究マネジメントを推進します。

<目指すビジョンの図>

安全・安心な社会の実現
注1) テラヘルツ帯
一般的にはミリ波の次に短波長の周波数300ギガヘルツ(GHz)~3テラヘルツ(THz)(波長100マイクロメートル(μm)~1ミリメートル(mm))帯を指す。
注2) ビデオレート
実時間観察ができる画像取得速度を表す。

<出身事業>

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域 「先端光源を駆使した光科学・光技術の融合展開」
研究課題 「高強度テラヘルツ光による究極的分光技術開拓と物性物理学への展開」
研究代表者 田中 耕一郎(京都大学 教授)