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別紙

A-STEP「ステージⅢ(NexTEP-Aタイプ)」
平成28年度募集新規課題

課題名 新技術の代表研究者 開発実施企業 新技術の内容
減圧プラズマによる
高効率除害装置
東京大学大学院
工学系研究科
マテリアル工学専攻
教授 一木 隆範
カンケンテクノ
株式会社
本開発は、半導体の量産工程で発生する排ガスの処理について、「減圧プラズマ式」により低ランニングコストの除害装置を提供するものである。 半導体、FPD,PVあるいはLEDなどの電子デバイスの製造では、シリコンやガラスの基板に薄膜を形成し、これをパターニングする工程が繰り返される。この製造工程には、可燃性ガス、毒性ガスや温室効果ガスが多量に使われる。これらのガスを直接大気に放出することはできず、無害化するための除害装置の設置が必須である。従来の除害装置では、安全性を確保するためにプロセス装置の排気を大量の窒素ガスにより約100倍希釈し、大気圧下で高温加熱処理をして無害化している。この高温加熱処理のために投入するエネルギーの大半は、有害ガス以外の希釈ガスの加熱に使われているため非効率であり、この高温になった大量の排気を、大気放出前に常温に戻すための冷却にも余分なエネルギーが消費されている。また、プロセス装置の排気配管に生成物が付着することを防ぐために、配管を常時加熱することも行われている。このように、大気圧下で除害する場合には希釈ガスの使用や加熱等が必須でありランニングコストの上昇が課題であった。 本技術は、希釈ガスの使用や配管加熱などが不要となる10kPa程度の減圧下で有害ガスを直接プラズマ処理して無害化するものである。このため均一なプラズマ生成が難しい10kPa付近の減圧下でも均一なプラズマを安定して生成させるための電極構造、電源仕様、電力供給方法等の検討を行い高効率の除害装置を開発する。 これにより、排ガス希釈用窒素ガスの削減、配管加熱の削減、メンテナンス時間の削減等、半導体量産工程のランニングコストを大幅に削減する効果が期待される。