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別紙1

戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)
EIG CONCERT-Japan「食料及びバイオマスの生産技術」
平成28年度新規課題一覧

【食料及びバイオマスの生産技術】

  課題名 研究代表者・所属期間・役職 課題概要
植物病原体:環境条件の変化の下における真菌を用いた作物の収量と品質の向上法 伊藤 紀美子
新潟大学
教授(日本)
本研究は、乾燥・高CO2・温度などの環境ストレス下において、作物の収量・機能性向上をもたらす病原性微生物の処理条件を検証し、その調節機構をトランスオミクスにより解明するとともに、その統合モデルを構築する事を目的とする。 日本側はイネを材料とした研究とプロテオミクスを担当する。スペイン側はトマトを材料に研究を推進する。ドイツ側はメタボロミクスおよびイオノミクスを、チェコ側はフェノミクスおよびホルモノミクスを実施する。 日欧の研究チームによる相互補完的な共同研究により、温暖化などの環境変動下においても収量・品質を向上させる事のできる、環境に優しくサステナブルな微生物処理法の設計・確立が期待される。
ハビエル・ポズエタ=ロメロ
スペイン高等科学研究院
教授(スペイン)
モハマド=レザ・ハジレザエイ
ライプニッツ植物遺伝学作物研究所
シニアサイエンティスト(ドイツ)
日欧ネットワークによる気候変動下におけるダイズ栽培技術革新 大津 直子
東京農工大学
准教授(日本)
本研究は、硫黄栄養や水環境が根粒菌とダイズの共生関係、ダイズ収量や品質に及ぼす影響をポッド試験及び圃場試験において明らかにし、さらにモデリングを利用して、各国の気象状況に適した水管理法や硫黄施肥法の確立を目指す。 具体的には、日本側は主にポッド試験を実施し、それぞれの国の土壌環境がダイズと根粒菌の共生に与える影響を解析し、各国のダイズ品種における硫黄欠乏や水ストレスに対する影響を比較する。これらの情報を基に、フランスの共同研究者がモデリングを行い、適切な肥培管理を提案する。更に、日本側が開発した深層施肥法を組み合わせ、ドイツ、トルコでの圃場試験で検証する。 日欧の研究チームが相互補完的に取り組むことにより、欧州および日本が直面している硫黄欠乏や水ストレスなど、さまざまな環境や土壌に対応できるダイズ栽培技術の発展に繋がることが期待される。
園子・ドロテア・ベリングラード=木村
ライプニッツ農業景観研究センター
教授(ドイツ)
オスマン・エレクル
アドナンメンデレス大学
教授(トルコ)
エティーン=パスカル・ジャーネット
フランス国立科学研究センター
研究員(フランス)
ストレス条件下における植物機能亢進による作物収量の向上 榊原 均
理化学研究所
グループディレクター(日本)
本研究は、植物共生細菌エンドファイトの一種であるP. indicaの感染が植物の生物的および非生物的ストレス耐性を高める仕組みを明らかにし、更に実用作物にも展開を図ることを目的とする。 具体的には、日本側はホルモノーム解析を行うとともに、P. indica感染による根系制御と窒素の取り込み制御の仕組みの解明をフランスと共同で行う。 スペイン側はメタボローム解析を、ドイツ側はトランスクリプトーム解析とP. indica感染による根系制御とオーキシンの恒常性制御との関係について明らかにする。シロイヌナズナの研究で得られる知見を実用作物で実証するために、日本側はイネに、ドイツ側はハクサイなどのアブラナ科作物に展開する。 日欧の研究チームが相互補完的に取り組み、根圏共生微生物が宿主植物のストレス耐性を向上させるしくみを分子レベルで理解することで、生物農薬としての活用や、その効果を代替できる植物成長調整剤の開発に繋がることが期待される。
ステファン・プルマン
植物バイオテクノロジーゲノミクス研究センター
教授(スペイン)
ジェサス・ビンセント=カルバホサ
植物バイオテクノロジーゲノミクス研究センター
教授(スペイン)
アンネ・クラップ
ジャンピエールブーギン研究所
副所長(フランス)
ユタ・ルディ=ミュラー
ドレスデン工科大学
教授(ドイツ)
ラルフ・オルミュラー
イエナ大学
教授(ドイツ)
持続的な作物生産のためのジャガイモとキャッサバの比較オミックス解析 関 原明
理化学研究所
チームリーダー(日本)
本研究は、貯蔵器官形成における細胞分化の制御機構と環境要因が塊根・塊茎形成に影響を及ぼす分子メカニズムを解明することを目的とする。 日本側はオミックス解析、キャッサバ形質転換体の作成、環境変動下でのキャッサバへの生理的影響の調査を実施する。スペイン側はINTACT技術の開発とジャガイモの塊茎のオミックス解析を実施し、ドイツ側は生育温度等を制御した環境変動下での生理的影響を調査、大腸菌由来Glycolate Dehydrogenase過剰発現ベクターを作成する。3機関が連携して農業生産性に重要な塊根と塊茎形成の分子機構の解明を目指す。 日欧の研究チームが相互補完的に取り組み、研究成果を世界の研究者へ発信することにより、将来の農業生産性向上への利用が期待される。
サロメ・プラト
スペイン国立バイオテクノロジーセンター
教授(スペイン)
ウベ・ソネワルド
フリードリヒ・アレクサンダー大学
教授(ドイツ)
気候変動下における穀物資源の利用効率化に関する包括研究 三ツ井 敏明
新潟大学
教授(日本)
本研究は、さまざまな環境下における穀物の生産性および品質並びに養分利用効率を制御する作物学的、生理学的、分子的ボトルネックを特定する。また、気候パラメータの変化を考慮した養分利用効率を最適化するための予測モデルの開発を行う。 具体的には、日本側はイネ研究を実施し、スペイン側は小麦・新穀物研究、フランス側はメタボローム研究、そしてドイツ側はモデル構築を実施する。 日欧の研究チームが相互補完的に取り組むことにより、世界人口の増加と変化するグローバル環境に対応する農業作物の高生産性および栄養価の最適化技術の開発が期待される。
イケル・アランフエロ
スペイン高等科学研究院
室長(スペイン)
ホセ・ルイス・アラウス
バルセロナ大学
教授(スペイン)
ベルトランド・ガキエレ
パリ第11大学
学部長(フランス)
エカルト・プリエサク
ヘルムホルツ協会
グループ長(ドイツ)

氏名に下線がある研究者がプロジェクトリーダー
日本人は姓、名の順、外国人は名、姓の順で記載
名と姓の間には「・」、複合名や複合姓には「=」を使用